米当局者に連行されるマドゥロ大統領(AFP PHOTO / X account of Rapid Response 47)

米当局者に連行されるマドゥロ大統領(AFP PHOTO / X account of Rapid Response 47)

「マドゥロ氏が大統領になったのは2013年です。それから国は貧しくなりました。経済の専門家を排除して、側近だけで国を運営したせいですよ。それで無計画に紙幣をたくさん印刷して、通貨が価値を持たなくなり、ハイパーインフレが起きた。医薬品が流通しなくなったり優秀なお医者さんが国外に出て行ったりして、医療は崩壊しました。子供を産むのも命懸けです。教育機関が閉鎖してしまっている地域もたくさんあります。先生たちが国を捨てて、近隣国に行ってしまうので教える人がいないんです」

 経済状況と同様に深刻なのが、体制反対派に対する弾圧だという。

「体制に反対する人はみんな排除されてしまいます。野党の政治家やジャーナリストが次々に収監されていきました。国家情報庁が管理する拷問施設では、電気ショックや水責めが平気で行われているとも聞いています。国民は、政権に意見が言えない状況になっている」(同前)

 2024年に国連人権理事会に提出された報告書によると、令状もなく拘束され、拘禁施設ではさまざまな拷問が行われたという。前出の大手紙国際部記者が解説する。

「拳や銃床による殴打はもちろん、中南米で古くから行われてきた拷問行為が政府によって行われていたことが報告されています。

 例えば窒息拷問。まずビニール袋を被せ、首を絞めます。そして失神する寸前に空気を吸わせまた袋をかぶせるということを繰り返す。他にも電気ショックや、数日間眠らせないといった拷問も確認されています。明かりを消さず爆音をならし、寝たら叩き起こすわけです。飲食を制限して、脱水症状や失神状態に陥らせることもあったとみられています。男女問わず身体検査を口実に繰り返し裸にさせていたという例も報告されました。そうして“自白”させ、他の反体制派の人間の名前を吐かせている、と。

 しかしながら、報告書は国連の調査を受け入れない政権に対して、担当者らがベネズエラの国境で機密インタビューをして集めた情報が元になっており、実態は不透明です」

 こうした情勢のなか、近年ベネズエラからは大勢の国民が難民として国外へ逃れている。人口の約3割に当たる約800万人が隣国のコロンビアやペルーなどに渡り、国を脱出したというデータもある。

「周辺国に流れたベネズエラ人たちは喜んでいる人が多い。アメリカの作戦は強硬ではありますが、国民としては歓迎している、というのが素直な気持ちです。

 周辺国に大量に難民として流れ込んでいるベネズエラ人は、他国の人からよく思われていないことが多い。そんな国にした責任を、マドゥロは取るべきです」

 世界経済が右肩あがりとなっている中、ベネズエラではマドゥロ大統領が就任した後の2013年からGDPが70 %以上も減り、大勢の国民が国外へ避難した。その政権トップが拘束されたわけだが、この男性は「これでベネズエラが良くなるかというと、そう簡単な問題でもない気もしています」とも吐露するのだ──。

(後編につづく)

関連記事

トピックス

晩餐会での“少女漫画のようなエスコート”動画が話題に(提供:soya0801_mlb)
《独占入手》妻・真美子さんの手を優しく取って…大谷翔平、晩餐会での“少女漫画のようなエスコート”動画が話題に ファンに伝えた「ありがとう」
NEWSポストセブン
若い女性たちとエプスタイン(民主党資料より)
「ひとりで楽しみ、体に触り、無理やり行為に及んだ」10代の少女らが性的搾取された“エプスタイン事件” 米司法省が新たに公開、画像や動画…300万枚の資料が示す“被害の詳細”
NEWSポストセブン
高市人気で議席増を狙う自民だが…(時事通信フォト)
《自民維新で300議席》衆院選の情勢調査報道は投票に影響を与えるのか 自民が高市支持でこのまま大勝?心理士が分析
NEWSポストセブン
CanCam卒の注目女優宮本茉由
《CanCamモデルを卒業》不倫ドラマ主演でも話題・宮本茉由、長野県・北アルプスの麓で見せた「止まらない色気」
週刊ポスト
レーシングドライバー角田裕毅選手
【大谷翔平より高い知名度】レーサー角田裕毅(25)が筋骨隆々の肉体美を披露「神が認めた男」のパーソナルブックに堂本光一らのコラムも  
NEWSポストセブン
ラオジーのブログより(現在は削除済み)
《昨夜の子は何歳だったんだ…との投稿も》「ラオスの帝王ラオジー」ブログの不正開設の疑いで61歳の男が逮捕 専門家が明かしたラオス児童買春のいま
NEWSポストセブン
東京21区〜30区は中道が優勢な選挙区も(時事通信フォト)
【2・8総選挙「東京21〜30区」は波乱の展開】前回無所属で議席を守った旧安倍派大幹部は「東京最多の公明党票」に苦戦か 中道がややリードの選挙区も
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン