MVP受賞者としてスピーチするドジャースの大谷翔平(AFP=時事)
人生が完璧だと今の自分の生活を振り返ることができるのは、どんなときだろうか。2025年シーズンのアワード受賞者を祝う晩餐会で行われた、大谷翔平による2分超の英語スピーチで言及された人生観について、臨床心理士の岡村美奈さんが分析する。
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「for making my life whole」、日本語訳では「私の人生を完全なものにしてくれて」。3年連続4度目のリーグMVPに輝いたドジャースの大谷翔平選手が、全米野球記者協会(BBWAA)ニューヨーク支部主催の夕食会で、そう感謝を伝えた先は愛する真美子夫人と娘、そして愛犬のデコピンだった。
お揃いのブラックコーデで出席した大谷夫妻。大谷選手は黒のスーツに黒シャツ、黒のネクタイに黒のチーフ。真美子夫人も首から肩にかけてフリルがあしらわれた黒のワンショルダーのドレス。黒にも色々な黒があるが、彼らが選んだ黒は光の加減によって紫がかったようにも濃紺のようにも見え、晴れやかな席にぴったりの黒。漆黒だと落ち着いて見えるが、重く、暗く沈んだ印象になる。だがこの黒は高身長ですらりとした二人の体型を引き締め、顔色を明るく、全体的に華やかな印象を与えていた。
以前より英語の発音がよくなっていると評された大谷選手の英語のスピーチは2分19秒。胸元から取り出したペーパーを読み上げた。右に左に視線を送るが、そのほとんどはカメラ目線。だがその視線もサポートグループへの感謝を述べる際は、会場へと向けられた。
代理人のネズ・バレロ氏の献身に感謝した際は、ネズ氏が座っていると思われる席の方に視線を送り、頬を緩めた。続けて「CAA(クリエイティブアーティストエージェンシー)の皆さん」と呼びかけ、「特に」という言葉を使って一人ひとりの名前を挙げながら、そちらの方に視線を向ける。同じ感謝でも、名前を呼ばれるだけでなく、このような場で壇上から視線を向けるというのは大きな意味を持つ。対外的には、彼が自分に関係する人々やチームを、うわべの言葉だけでなく、本当に大事にしていることが伝わってくる。大谷選手をサポートしてきた人々にとっては、彼との一体感、サポートチームとしての連帯感を感じることができただろうし、一緒に頑張ってきて本当によかったと思える瞬間を共有することになっただろう。
