聖隷クリストファーの上村監督
夏に向けて動くチーム
浜松商業や掛川西など、静岡の公立校を率いて甲子園経験のある上村監督は、落選以降、「甲子園には二度と行けないのかもしれない」という思いに駆られ、「高校野球が嫌いになった」と投げやりな言葉を発する時もあった。夏の甲子園出場を決め、あの落選のショックを受けた当時の教え子たちに報いることがようやく果たせた。上村監督にとっても、そして筆者にとっても、ようやく2022年の落選問題に終止符を打ったのである。
ところが、昨秋の東海大会を経て再びセンバツの出場枠をめぐり聖隷と大垣日大が争うことになった。選考委員会を2日後に控えた1月28日。私は強風が舞う静岡県浜松市の聖隷グラウンドを訪ねた。取材に訪れる者は他におらず、選手も、そして監督やコーチ陣も、4年前とは違ってセンバツ出場の可能性を信じる者は誰もいない。夏に向けて黙々と体幹トレーニングに励み、バットを振り込んでいた。
本当にサプライズはないのか。
昨秋の東海大会の結果だけを見れば大垣日大の優位は揺るぎない。しかし4年前、悲劇を生んだ選考理由に鬼嶋氏が挙げたのが、「個人能力」「投手力」「甲子園で勝つ力」だった。その選考基準からすれば昨夏の甲子園経験者が複数いて、高部というエースがマウンドに立つ聖隷が勝るだろう。果たして――。
◆取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)
