国際情報一覧/7ページ

国際情報を集めたページです。韓国、北朝鮮、中国などの最新動向や、世界各国のニュースの背景を深く分析。国際社会における日本の今が見えてきます。

脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
北朝鮮が最高額紙幣の10倍にあたる5万ウォンの金券発行 インフレ抑制の狙いも
 北朝鮮の中央銀行が、現在流通している最高額紙幣である5000ウォン札(約111円)の10倍の5万ウォン(1114円)に相当する金券を新たに発行していたことが明らかになった。5万ウォンの金券の流通枚数など詳しいことは不明だが、今年初めに発行され、企業間の取引用として使われているという。 5万ウォンの金券を個人用に流通させずに、企業間での限定的な流通にとどめているのは、北朝鮮当局がインフレを抑制しようとしていることを示す可能性もあるとみられる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 5万ウォンの金券には朝鮮中央銀行の名前が記され、発行日は「チュチェ111」(北朝鮮の暦で、建国者・金日成の生誕年である1912年から始まる現在の年)であることが示されている。背景には、中朝国境にある北朝鮮の聖地、白頭山が描かれている。 北朝鮮の紙幣は、5ウォン札から5000ウォン札まであり、市民は通常、ドルや中国元などの外国通貨と北朝鮮ウォンを組み合わせて商品やサービスの代金を支払っている。 北朝鮮経済に詳しい韓国の政府筋はRFAに対して、「北朝鮮の中央銀行は単に高額紙幣を発行するのではインフレを引き起こすので、経済状況が良くなったときに換金できる金券を流通させているのではないか」との見方を明らかにしている。
2022.04.26 07:00
NEWSポストセブン
池上彰氏はウクライナの先行きをどう見るか
池上彰氏 ウクライナが2つに分断され「第2の朝鮮半島」になる可能性を指摘
 ロシアによるウクライナ侵攻は、日々、双方が戦況について異なる発表をするため、実態が掴みにくい。私たちはどのように情報に接すればいいのだろうか。池上彰氏と、ウクライナで現地取材を続けるジャーナリスト・水谷竹秀氏がリモートで緊急対談した。【前後編の後編。前編から読む】池上:21世紀になってヨーロッパの主権国家に他国の軍隊が攻め込むなんてあり得ないと誰もが思っていました。戦車戦で戦車が大量に破壊されるなんて、20世紀前半の戦争ですよ。ただし情報戦争という点では、ウクライナ戦争は明らかに21世紀の戦争です。水谷:それはものすごく感じています。戦争勃発後、ウクライナの被害者の遺体写真が情報源も不明なまま、即座にSNSで拡散されました。ウクライナ軍の死者についてもゼレンスキーは3000人とするが、ロシアは2万人と言う。双方の主張に隔たりがありすぎて、どの情報を信用していいのかわかりません。情報戦が過激化するなかで僕ができることは、ひとつひとつの証言の裏取りを重ねていくことだけです。池上:ただし地道に証拠を積み上げるようなルポよりも刺激的で衝撃的な内容が好まれるのが、戦争報道の一番のジレンマです。そんななか、水谷さんは現地で工夫して、地域防衛隊に志願した女子大生兵士というキャッチーな話題も取材していますね。こういうルポなら日本の読者も興味を持つはずです(『FRIDAY』4月22日号)。水谷:男性が志願するのは何となくわかるんです。でも女子大生が地域防衛隊に志願したり、一般女性が訓練所でカラシニコフの使用法を学んだりするのは、どういう気持ちなのか興味がありました。池上:ルポを読むと、女性でも本当に故郷を守りたいんだという切迫感が伝わってきます。水谷:ただし、本音は異なる部分もあるんです。長く一緒にいて打ち解けたコーディネーターに「いざという時は武器を持って戦うか」と尋ねると、しばらく悩んでから「戦うしかない」と言葉を絞り出しました。その一方で彼は、「正直に言うと、人を殺すことは望んではいない」とも打ち明けてくれました。池上:重い言葉です。水谷:今回の戦争が始まってから、18~60歳のウクライナ人男性の出国を禁じる大統領令が出ましたが、実際には国境付近で賄賂を払って国外に出る男性もいるようで、「○○は裏切り者だ」と非難されます。でもコーディネーターは、「恐怖心から保身に回って、逃げる奴の気持ちもわかる」とも言いました。これが戦場における葛藤であり、単に白か黒かでは分けられないはずです。池上:何かあれば武器を持つけど、本音では人を殺したくないというのが、まさに人間の本心です。水谷:時間をかけて人間関係を築くことで、初めて聞くことができる答えがあると思います。池上:まったくその通りです。私はテレビの仕事を長くしていますが、テレビは「ここが爆撃されました」と戦闘報告をして住民にマイクを向ければ取材が終わりますが、ノンフィクションライターはそうはいきません。水谷:現地のウクライナ人と長く接すれば接するほど、彼らが何を考えているか少しずつわかってきます。それをどう伝えるかを模索しています。SNSでは簡単に騙される池上:「21世紀の情報戦」では、SNSを利用したフェイクニュースが溢れることも大きな特徴です。日本でSNSばかり見ている人は簡単に騙されてしまう危険がある。水谷:いまや日本人の情報源はSNSが主流になり、SNSを使いこなした者が影響力を持ちます。今回は外務省の渡航中止勧告などもあり、日本の大手メディアが現地に入るのが遅くなったこともSNS偏重になった一因でしょう。池上:ロシアが平然と嘘をつくことも目立ちます。ロシアのラブロフ外務大臣は「ロシアはウクライナを攻撃していない」と発言し、駐日ロシア大使は「ブチャの虐殺はでっち上げ」と強弁した。こうした嘘はすぐ見抜けるけど、巧妙なフェイクニュースになると見分けるのがなかなか難しい。水谷:一方でウクライナからの情報に少しでも疑義を表明すると、「ロシアの肩を持つのか」と叩かれる雰囲気も感じます。池上:戦争にいたる要因はウクライナ側にもあったと指摘すると、猛バッシングされます。「ウクライナが善戦している」という言い方も、「負けることを前提としているのか」と言われる。どう報じるのかがすごく難しい戦争です。水谷:凄惨な写真や映像をどこまで報じるべきかも議論されています。池上:戦争報道の永遠の課題です。今の日本のテレビは「これから遺体の映像が出ます」と注意喚起してから映像を流します。湾岸戦争では、加害者側のアメリカがイラク軍の遺体を全部片づけてからメディアツアーをしました。情報操作は戦争につきもので、日本で記事を読んだりテレビを見たりする際は、「ウクライナは自国の被害を世界に知ってもらいたいから、少し大げさに報告することもあるかもしれない」と頭の片隅にとどめておくことが必要でしょうね。水谷:受け手がそうやってバランスを取ってくれれば、報道する立場としても少し心が楽になります。それにしてもこの先、ウクライナ戦争はどうなっていくでしょうか。池上:ロシアは東部の2州を制圧し、クリミア半島と結ぶ海上の回廊を作ろうとしています。しかしウクライナはそこを奪われるわけにはいかず、徹底して抗戦するでしょう。国際的な第三者が停戦を仲介するしかない。水谷:2014年のクリミア併合から8年も争いが続き、ウクライナは今、ものすごく結束しているので簡単には収まらないはずです。周囲の大国がどう戦争を収めるかがポイントです。池上:中長期的には、朝鮮半島のようにウクライナの東・南部が分断される可能性もあります。水谷:当分は戦闘が続くでしょう。キーウにいるうちにできる限りの取材を行ない、また次に来るための何かを残して日本に帰りたいと思います。池上:くれぐれも気をつけて帰ってきてください。(了。前編から読む)【プロフィール】池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から「週刊子どもニュース」のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。2016年より名城大学教授、東京工業大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』など。水谷竹秀(みずたに・たけひで)/1975年三重県生まれ。上智大学外国語学部卒業。新聞記者やカメラマンを経てフリーに。2004~2017年にフィリピンを拠点に活動し、現在は東京。2011年『日本を捨てた男たち』で開高健ノンフィクション賞を受賞。ほかに『だから、居場所が欲しかった。』『脱出老人』など。※週刊ポスト2022年5月6・13日号
2022.04.25 11:01
週刊ポスト
ウクライナで現地取材を続けるジャーナリスト・水谷竹秀氏(写真/本人提供)
ウクライナ取材ジャーナリストが池上彰氏に明かす 凄惨な光景と政府のメディアツアー
 ロシアによるウクライナ侵攻は、日々、双方が戦況について異なる発表をするため、実態が掴みにくい。私たちはどのように情報に接すればいいのだろうか。池上彰氏と、ウクライナで現地取材を続けるジャーナリスト・水谷竹秀氏がリモートで緊急対談した。【前後編の前編】池上:ウクライナの首都キーウ近郊の街ブチャでは、ロシア軍が民間人を大量虐殺したと報じられています。水谷さんは実際にブチャに入られたのですね。水谷:4月6日に、ロシア軍が撤退したブチャに入りました。街中は瓦礫の山で、空爆された中心部のマンションやショッピングモールは原形をとどめず、多くの自動車は地上戦の銃弾の跡で穴だらけ。街の一部が壊滅したような状態でした。列車の駅近くに焼け焦げたロシアの戦車が10台近く置き去りにされ、ある民家の裏庭にはロシア兵が逃走した際に脱ぎ捨てられたとみられるロシア軍の制服がありました。池上:ブチャでは戦争犯罪の証拠集めのため、埋葬された遺体を掘り起こしていると聞きます。水谷さんが入られた段階で、民間人の遺体はどうでしたか。水谷:到着後、道端に人が集まっていたので行ってみると、頭部がなく、民間人とみられる女性の遺体が路肩に放置されていました。傍らにはフロントガラスを撃ち抜かれた車の残骸があり、周囲には死臭が漂っていた。実況見分していた警官の話では、女性は助手席に乗っていた時にロシア兵に銃撃されたようです。また臨時の集団墓地となった教会の裏手には、黒い袋に入った民間人の遺体が10体以上並んでいました。現場の警察官は「ロシア軍によるジェノサイドだ」と断言しました。池上:凄惨極まる光景ですね。これまでに取材で遺体を見た経験はあったのですか。水谷:僕は長くフィリピンを拠点に活動していて、イスラム過激派と国軍の戦闘、日本人の射殺事件やレイテ島の地滑り被害の現場などで多くの遺体に遭遇しましたが、路上に民間人の亡骸が、しかも頭部がないまま放置されていたのは衝撃を受けました。池上:そもそもなぜウクライナに入ろうと思ったのですか。水谷:もともと海外の在留邦人に興味があり、アジアを中心に取材をしていたんです。今回も2月半ばからウクライナの在留邦人に取材を始めたら、いきなり戦争が始まりました。当時はまだ日本の大手メディアは現地にほとんど入っておらず、取材相手の在留邦人から「取材に来るなら部屋を提供する」と言われて迷った末、自分の人生で激しい戦場を見る機会はもうないだろうし、現地に行けば何か発見があるはずと思って決断しました。池上:キーウには各国のメディアが集まって活発に取材をしています。水谷:現地にいる外国人記者の多くは大統領府から500mほど離れたホテルに宿泊し、ホテル2階にあるメディアセンターでは毎日のようにウクライナ側の要人が記者会見をします。僕が雇った現地のコーディネーターからは、「ロシアはメディアを敵視するから、ホテルにミサイルが撃ち込まれる怖れがある。早く離れたほうがいい」と真顔で警告されました。政府のメディアツアー池上:そんな状況での安全確保は大変でしょう。水谷:日本から防弾チョッキと防弾ヘルメットを持参しました。キーウの戦況は落ち着いていますが、近郊ではロシア軍が設置した地雷の処理で時々爆発音が聞こえるので、土の上を避けてアスファルトの上を歩くようにしています。一度、地面に落ちていた弾薬のようなものを蹴ったら、「何をするんだ!」とコーディネーターに叱られました。池上:私も旧ユーゴ内戦でサラエボの地雷原を取材した際、何気なく地面に足を着けると現地の運転手が真っ青になり、「アスファルトから出るな」と叫びました。帰国後もしばらく土の上を歩けませんでした。水谷:キーウでは撮影にも注意が必要で、検問の様子は絶対に撮るなと言われています。地下鉄のホームに集まる避難民を撮影した際は、現地の警官にいきなり腕をひねられて転倒しました。警察も殺気立っていたので、銃で撃たれないだけ幸運だったのかもしれません。池上:ウクライナ政府はキーウで外国人記者相手のメディアツアーを行なっているそうですね。水谷:ロシア軍が撤退した4月上旬以降、海外メディアを対象に、ブチャやボロディアンカなど被害が甚大だった地域を回るバスツアーが始まりました。参加者の多くが欧州メディアです。ウクライナ側が案内してくれて楽なのですが、その情報を元に記事を書けば、メディアが戦争広告代理店のようになるのではとの違和感があります。池上:よくわかります。ウクライナが多大な被害を被ったのは事実ですが、他方でウクライナは海外メディアに自分たちに有利な報道をしてもらいたいとの思惑がある。水谷:おっしゃる通りです。もちろんウクライナはロシアに不当に侵略されましたが、例えば「ウクライナ人の住民が20人殺された」という現地住民の証言をそのまま報じてよいのか。その人が実際に殺害現場を見たのか、それとも20体の遺体を確認したのかなど、細かく裏を取る必要があります。一緒に行動するコーディネーターも「住民の話はどこまで本当かわからない」と語ることもあり、取材の難しさを感じています。池上:取材者の立ち位置で言えば、1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争では欧米メディアは主に攻撃する側から取材していました。ただイラク戦争の際はアラブ世界のアルジャジーラが唯一、攻撃される側から見た戦争を報じました。今回の戦争のように欧米メディアがすべて被害者側の立場にいるのは、戦争報道では極めてめずらしい。水谷:ああ、なるほど。池上:今回、ロシア軍に従軍しているのは、ロシア国営放送などロシアの御用メディアと中国人記者だけです。水谷:確かに明確に分かれています。逆にウクライナで中国人記者はほとんど見かけません。(後編につづく)【プロフィール】池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から「週刊子どもニュース」のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。2016年より名城大学教授、東京工業大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』など。水谷竹秀(みずたに・たけひで)/1975年三重県生まれ。上智大学外国語学部卒業。新聞記者やカメラマンを経てフリーに。2004~2017年にフィリピンを拠点に活動し、現在は東京。2011年『日本を捨てた男たち』で開高健ノンフィクション賞を受賞。ほかに『だから、居場所が欲しかった。』『脱出老人』など。※週刊ポスト2022年5月6・13日号
2022.04.25 11:00
週刊ポスト
不動産市況が悪化の一途をたどる中国
中国湖南省で警察がパスポート引き渡し命令 国外脱出希望者が急増
 中国の上海市や深セン市、武漢市などの大都市で新型コロナウイルスの感染が拡大し、政府による都市封鎖(ロックダウン)が実施されるなか、湖南省では警察が地元住民に対して、パスポートを引き渡すよう命じ、拒否すれば「捜査の対象になると思った方がよい」と警告していることが明らかになった。警察は「この措置は今後、全国的に展開される。感染が収まった時点で、パスポートは返却する」と約束しているという。 中国では都市部の富裕層の間で、上海などのロックダウンによって住民の食料不足などが深刻化し、医療危機も発生していることから、海外移住の希望が急増している。湖南省の警察のパスポート引き渡し命令も、住民の国外脱出阻止を狙ったものとみられる。湖南省の地元メディアが報じた。 湖南省の省都・長沙市では3月末、地元警察がホームページを通じて、企業などの雇用主に対して、すべての従業員と家族のパスポートを警察に引き渡すよう指示する通達を掲載した。 ある市民が電話で、警察に問い合わせたところ、「市政府の公式の通達であり、今後は中国全土で実施される。働いている人だけでなく、パスポートを持っている人は誰でも渡さなければならない。もし、渡さないのなら捜査されると思ったほうがいい」との返事が返ってきたという。 しかし、実際には、湖南省以外でパスポートの引き渡しを求めている地方政府の例は報じられていない。 中国の検索エンジンなどでは、「カナダ移住の資格」といったキーワード検索数が、この1か月前の30倍にも増加。問い合わせの多くは北京市や上海市、江蘇省、広東省など新型コロナウイルス感染防止のために厳しい規制を敷いている都市や省に集中している。 このため、中国政府が今後、中国の都市部の住民のパスポートを提出するよう求める通達を出すとのうわさが広まっているようだ。 上海のある海外移住のコンサルタント会社は「ここ数週間で移民に関する問い合わせが急増している。特に人気が高いのは米国やカナダなどのグリーンカードだが、比較的小さい国のパスポートの取得の相談も多い」と答えている。 人気がある国はトルコで、移住の申請のためには、少なくとも25万ドル(約3250万円)の資産を持っていることが必要だが、富裕層であれば問題なく条件は整うという。 さらに5月にはその条件が40万ドルに跳ね上がるとのうわさも出回っており、混乱は続きそうだ。
2022.04.24 07:00
NEWSポストセブン
金正恩氏にはどんな狙いが…(写真/共同通信社)
不可解な金正恩氏のリーダー像 映画風のミサイル発射映像、看板アナとの手つなぎも
 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、繰り返されるミサイルの発射や高級住宅街の建設など、話題に事欠かない北朝鮮の最高指導者・金正恩総書記の印象操作について。 * * * そのニュースを見て、なんとも奇妙な感じがした。画面に映っていたのは、朝鮮中央テレビの看板アナウンサー、李春姫(リ・チュニ)さんと手をつなぎ、豪華な部屋の中を歩く北朝鮮の最高指導者・金正恩総書記の姿だ。 金総書記は国内外からの注目を集めるため、印象操作に力を入れ始めたのだろうか。そう思ったのは、3月25日に朝鮮中央テレビが公開した新型のICBM、大陸間弾道ミサイル「火星17型」の発射映像を見たからだ。これが今までみたいな記録映像とは違い、人々が思わず目を止めて見てしまうようなアピール性の高い、映画のような作りだったのだ。 ミサイル格納庫の扉が開くと、そこから出てきたのは、黒い革ジャンに黒いサングラス姿の金総書記。イメージはハードボイルドで、歩き出しのスローモーションが効果的だ。両脇に並ぶのは金総書記よりやや背が低く見える軍人2人。ミサイル発射の成功を、金総書記の功績として大々的にアピールする目的ならば、並んで歩く者が金総書記より背が高いことはあり得ない。北朝鮮の映像だ。そこには何らかの意図が含まれているような気がする。 移動式発射台に搭載された弾道ミサイルの前を歩く金総書記は、自らがミサイルを誘導し、従えているようにも見える。その偉大さはミサイルの大きさに比例し、成功は金総書記の導きによるとでも暗に印象付けたいかのよう。ミサイル発射の瞬間、建物の窓からミサイルを見上げ、手をたたいて満面の笑みを見せた。そして映像は、滑走路のような場所を歩くシーンで終わる。“北朝鮮はこれからも金総書記とともに大きく前進していく”というメッセージだろうか。 この最後のシーンなどは、昭和の刑事ドラマ『Gメン’75』(TBS系)のタイトルバックを彷彿とさせる。ドラマでは、陽炎揺らめく滑走路を刑事たちが横一列に並んで歩き、そこに「熱い心を強い意志で包んだ人間たち」というナレーションが流れていた。今の金総書記自身がアピールしたかった自己像は、そんな昭和のイメージだったのかもしれない。 それから約半月後の4月11日、平壌で80階建てのタワーマンションを含む集合住宅の竣工式が行われた。景気が回復したわけではないだろうが、ミサイルを次々と打ち上げ、高級住宅を建設していく北朝鮮。式に出席した金総書記は、祖父の金日成国家主席を連想させるような特徴的な形の帽子をかぶっていた。やはり祖父、父が築き上げたリーダー像を継承し、これまで以上にわかりやすい形で、崇拝される対象として自身を偶像化、神格化していきたいのだろう。 そこには国民を気遣い、寄り添うリーダー像の強化強調も含まれるのだろうが、冒頭で記した看板アナウンサー、李春姫さんとの手つなぎ映像を見る限り、示したいリーダー像がよく分からなくなった。 金総書記は、自ら設計したというメゾネットタイプの豪華な住宅を李さんに贈った。長く国に尽くしてきた功労者を労う、大事にすることで、人々の忠誠心を高める狙いがあるというのは分かる。だが、嬉しさのあまりなのか、李さんは金総書記の手を両手で握ったり腕にしがみついたり、べったり甘えたようなその姿はやり過ぎ感満載だ。こんな映像流していいのか?と思うのだが、金総書記は終始ニコニコ顔。記念写真では李さんともう1人の女性が金総書記を挟んで座っているが、2人とも金総書記の腕に自分の腕をからめている。 はて、この映像にはどんな意図があるのか、何を狙ったのか?親しみやすか優しさか、北朝鮮という国はやっぱり分からない。
2022.04.23 16:00
NEWSポストセブン
脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
北朝鮮、原油高騰の影響で燃料の個人販売摘発強化 食糧生産に深刻な懸念
 北朝鮮では備蓄燃料の個人所有と販売は、これまで「当局のお目こぼし」という形では容認されてきたが、ロシア軍のウクライナ侵攻などにともない、世界的に原油価格が高騰したあおりを受けて、北朝鮮全土で燃料不足が深刻化しているため、北朝鮮当局は石油やガソリンなどの民間販売業者を厳しく摘発していることが分かった。 北朝鮮の石油販売業者が米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」に明らかにしたところ、国営商社が運営するガソリンスタンドの燃料価格は今年初め、ガソリン1リットル当たり9800ウォン(約680円)、軽油が7500ウォン(約520円)だったが、3月末にはガソリンは1リットル当たり1万7000ウォンとほぼ2倍弱に、軽油も1リットル当たり1万2000ウォンと1.5倍に跳ね上がってしまった。 さらに、ある個人業者はRFAに対して、「燃料価格が最近、高騰しているのはウクライナ問題もあるが、(北朝鮮)政府が年明けからこれまで数回も弾道ミサイルの発射実験を繰り返していることも原因だ。政府がガソリンをミサイル発射のために使っていることが、国内のガソリン不足に拍車をかけている」と苦境を訴えている。 このため、国営のガソリンスタンドでは、ガソリンが不足すると、ナフサなどの安い燃料を混ぜて販売することが知られている。これは量を増やすことができる半面、ガソリンで走ることを前提とした自動車や機械にダメージを与える恐れがある。 その一方で、個人業者の場合、そのようなナフサなどを混入することはほとんどないことや、国営スタンドの政府価格より1リットル当たり1000ウォンほど安いため、人々が個人業者のスタンドに押し寄せて来ていた。 この状況を見て、政府機関が個人業者を取り締まるようになっており、庶民にしわ寄せがきているようだ。 RFAは「この時期は農作業が始まるため、耕運機などの農機具でガソリンの需要が増えるのだが、新型コロナウイルスの感染予防対策で中国との貿易が中断していることもあって、燃料の備蓄は例年より少ない。さらに、政府が個人業者のガソリン販売を取り締まっているため、市場に出るガソリンはほとんどなくなっており、このあおりで農作業も進まず、今年秋の農産物の収穫量も少なくなるとみられる。この個人業者の取り締まり強化は北朝鮮経済を一層悪化させる大きな要因になっている」と指摘している。
2022.04.23 07:00
NEWSポストセブン
ケンカが趣味?(AFP=時事)
Twitter買収のイーロン・マスクが今度はジョニー・デップと対決へ
 世界一の富豪となったテスラ経営者のイーロン・マスク氏(50)は、このところ「ケンカ屋」として名を馳せている。Twitter買収を宣言し、すでにTOB(株式公開買い付け)のための6兆円もの資金の目途をつけたという。しかし、ケンカはこれに留まらない。近々、なんと法廷でハリウッド一稼ぐ男といわれるジョニー・デップ(58)と直接対決する可能性が高まっている。 舞台となるのはデップと元妻アンバー・ハード(35)が争う名誉棄損裁判だ。3年ぶりに米連邦巡回控訴裁(バージニア州フェアファックス郡)で公判が再開されたのだが、かつて取り沙汰されたハードとマスク氏の不倫疑惑がそこで再燃しそうな雲行きになっている。裁判の争点はデップがハードにDVをしていたかどうかなので、この話は枝葉と思われていたが、ここにきてDVがあったとされる時期にデップがすでに海外にいたという見方が出てきたからだ。 発端は二人が住んでいたマンションの管理人の証言で、なんと「ハードさんが顔や首にケガをしているのを目撃した時期には、マスク氏がハードさんと同棲していた」と語ったのである。これが事実なら、デップからDVを受けたというハードの主張は音を立てて崩れる。と同時に、加害者はデップではなくマスク氏という疑惑も持ち上がる。 デップはすかさずマスク氏に、「ケイジ・ファイト(金網デスマッチ)で白黒つけようじゃないか」と挑戦状を突きつけた。これにより公判でマスク氏が証人として証言を求められる可能性が高まっているのである。 それにしても、マスク氏は一生使いきれない巨万の富を手にしたにもかかわらず、ケンカの絶えない生活だ。Twitter買収劇では、同社が買収防衛策を導入したことに対抗し、「買収が成功すれば取締役会の報酬はゼロになる」とツイートして挑発。さらに、TOBが成功しなかった場合には大手投資会社アポロ・グローバル・マネジメント(運用資金約63兆円)に資金援助してTwitterを潰しにかかる代替案も検討中だ。 そもそもマスク氏はTwitterの厳しい投稿管理に根深い不満を持っていた。「私は特定の政党や政治理念に肩入れするつもりはない」としているが、同社がトランプ前大統領のアカウントを停止したことを批判。買収に成功すればトランプ氏のアカウントをただちに復活させると見られている。返す刀で、SNSなどの規制強化を進めるバイデン大統領に対しては、「濡れた靴下で作った指人形のような男」と名付けて、ついに国のトップにもケンカを売った。 ケンカでいえば、ロシアのプーチン大統領に「決闘」を申し込んだことも記憶に新しい。Twitterに「私はここでウラジーミル・プーチン氏に決闘を申し込む。懸けるのはウクライナだ」と投稿し、さらにプーチン氏のアカウントにロシア語で、「決闘を受け入れるか?」と迫った。フォロワーから「冗談でしょ?」と問われ、「完全に本気だ」と回答している。 さすがにプーチン氏は完全無視しているが、代わりに受けて立ったのがロシアの国営宇宙開発会社「ロスコスモス」のドミトリー・ロゴージンCEO(元副首相=58)だ。「若輩野郎、俺が相手になってやる。勝負はやる前からわかっており、時間の無駄だがね」と、やる気満々のツイートを返した。 ネットは盛り上がり、総合格闘技のコメンテーターでコメディアンのジョー・ローガン氏(54)が「プーチンに勝つために俺がマスクを鍛えてやる」と名乗りを上げ、格闘技を扱うサイトには「プーチン対マスク」をシミュレートして、二人の身長、体重、年齢、技量、精神力などから勝敗を予想するものまで出ている。ちなみにマスク氏は学生時代に極真空手や柔道、合気道を学んだ格闘技オタクでもある。 ケンカの相手がアメリカとロシアの大統領、ハリウッドで最も稼ぐ男、世界最大のSNSと宇宙開発会社CEO――たしかにスケールの大きい男である。■高濱賛(在米ジャーナリスト)
2022.04.23 07:00
NEWSポストセブン
死因について様々なうわさも
チベット族の焼身自殺が相次ぐ 習近平政権の少数民族政策の影響か
 中国では今年2月下旬から3月下旬までの1か月間で、3人のチベット族の住民が焼身自殺したことが明らかになった。2009年以降、チベット族住民による焼身自殺は約160件発生しているが、最近数年間は落ち着いているなかで、1か月に3人もの自殺者が出るのは、年間を通じて8人が焼身自殺した2014年以来のことだ。 習近平国家主席は今年3月、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)で「中華民族の共同体意識」を強化するよう指示し、今年の重要施策として「少数民族と漢族(中国人)との融和」を強調した。とくに、チベット住民の共住区ではチベット仏教への弾圧や伝統的なチベット文字の使用禁止などが指示されており、これらが自殺者増加の原因となっているとみられる。 インド北東部ダラムサラにあるチベット亡命政府(CTA)の情報によると、中国当局のチベット人弾圧に抗議してチベット族の歌手ツェワン・ロブさんが2月25日、中国チベット自治区の区都ラサに位置する、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマの居住地であり、チベット仏教の聖地ともいえるポタラ宮前広場で焼身自殺を図った。 ツェワンさんは日本の紅白歌合戦に当たる、大晦日に放送される中国の歌番組にも出演する国民的な人気歌手で、日ごろからチベット文字やチベット文化の継承・保護を訴えていた。 ツェワンさんが焼身自殺を図った直後、警察官がかけつけ火を消したが、その後、警察で死亡が確認された。 このほか、 四川省アバ県ギルデン在住の81歳のチベット人ザペンさんが3月27日未明、チベット仏教僧院近くの警察署の前で焼身自殺を図り、警察に連行されて拘束中に死亡。また3 月30日午後4時、青海省玉樹県の公安局前で、同県在住のチベット族、ザペンさんが焼身自殺して死亡している。 3人の遺族は警察から死亡を知らされただけで、遺体は引き渡されていない。過去には、遺骨がチベット族の親族に引き取られた後、葬儀に多くの人が弔問し、政治的なデモに発展したことあった。こういったことを避けるため、いまでは焼身自殺者の遺骨は返還されないという。 海外のチベット人のための非政府組織(NGO)であるチベット人権民主主義センター(TCHRD=Tibetan Centre for Human Rights and Democracy)は中国当局に対し、3人の遺体を直ちに遺族に返し、伝統的な葬儀をきちんと行えるようにできるよう求めている。 また、インドのチベット亡命政府のベンバ・ツェリン首相は海外のチベット人に対して「貴重な命を大切にし、その生命エネルギーをチベットの政治・宗教のために使い、より多くの貢献ができるよう努力してほしい」と呼びかけている。
2022.04.20 07:00
NEWSポストセブン
集団埋葬地の前で行方不明の親族を思い涙を流す家族(共同通信社)
「裏切り者」と責められて…日本に避難したウクライナ人家族の苦悩
 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、ロシアの侵攻により、日本へ避難してきたウクライナ人家族の苦悩や、ウクライナ人同士で生まれる“温度差”について。 * * * 都内の外国人クラブで働くウクライナ人女性たちの元には、祖国ウクライナとロシアの戦争により、家族が日本へ避難してきている。なんとか国を脱出できた家族が持ってきた荷物は、ほんのわずかだ。色々なモノを捨てて逃げてきた彼らは、親しい人に“さよなら”も告げず出てきたという。 その時の様子を聞いた外国人クラブのオーナーA氏は、「友人知人、親戚には何も言わずに家を出たという人ばかりだった」と話す。「彼らは、昼間は一つ所に集まって『ここでみんなで頑張ろう! なんとか全員生き残ろう』と励まし合っているのに、その夜に脱出するとは言えないのでしょう。国を捨てる、家を捨てる、逃げるという恥ずかしさと、『裏切り者』と言われるかもしれない怖さが彼らにはある。列車はどの駅から出るのか、出発時間はいつか、荷物の制限は、ペットは、など必要な情報を得るため、知らない人同士がSNSでやり取りするだけ。脱出する前に友人や親せきにメールや電話をしたという人はいないそうです」(A氏) 脱出用の列車は夜に出発。ロシア軍に見つからないよう列車内に明かりはない。画面が光るためスマホも禁止だ。そうして安全な場所に到着して、もしくは出国して始めて、彼らは周囲の人たちに連絡をするのだという。列車の中でスマホが使えなかったからではない。伝えることが、伝えた時の相手の反応が怖いのだ。「安全な場所へ逃げた彼らへの妬みからか、『何で言ってくれなかった!』、『何で私を誘ってくれなかった!』、『裏切り者』と責められた人もいたようだ」(A氏) 自国の状況を巡り、A氏が知るウクライナ人の間では微妙な温度差もあるらしい。ドネツク州出身の女性は「ドネツクが内戦になったのに、他の州は知らんぷりしていた。ようやくみんな戦争の怖さが分かったのでは」と冷ややかだという。ドンバス(ドネスク州やルハンスク州)では、8年前からウクライナ政府軍と分離独立派による内戦が続いていたからだ。「ウクライナでも、ロシア軍の侵攻から何百キロと離れた田舎では、これまでと変わらない生活をしているようです。そこに住む友人のインスタグラムには、平和な日常の風景が映っています。どの店にも物が揃っているし、数日前には『サロンで髪を染めた』という友人からのメールもありました。東日本大震災の時、被災地域から離れるほど、人々の日常生活が変わらなかったのと同じです。テレビを見ていると、ウクライナ全土が戦火に焼かれている気がするが、現実は違うようだ」とA氏は話す。 A氏の店で働くのはウクライナ人女性だけではない。日本の永住ビザを持つロシア人女性も働いている。彼女たちが店の中で言い合いや対立することはないが、ロシア人女性の多くはプーチン支持派だ。「ウクライナはもともと内戦をしていた国ですよ。あのプーチンが戦争を起こしたんだから、ウクライナがよほどのことをしたのでしょう」(ロシア人女性) 彼女が持っているプーチン氏へのイメージは“我慢強い”というものなのだろう。A氏が知るロシア人の中には、ウクライナ政府側をネオナチ扱いし、「ウクライナのナチ化を止める」、「ネオナチから親ロシア派を守る」というプーチン氏の言葉を信じている人も多いという。さらにその中には、避難してきたウクライナ人に手を差し伸べる日本人に、こう話すロシア人もいるそう。「ウクライナから脱出してきた人たちをサポートするのはいい。あの人たちは“ネオナチ”ではないから。でも逃げずに国に残っている人たちはネオナチだ」(ロシア人女性) 4月12日、ウクライナへの侵攻後、始めて記者会見を行ったプーチン氏は、「ウクライナで起きている事は悲劇だが、他に選択肢は無かった」、「すべての目的が達成されるまで続ける」と発言している。戦争の犠牲者はまだまだ増え続けるだろう。 「遠い日本では現実的に何もできません。ただ知っている人たちが安全でいてくれればと願うだけです」(A氏)
2022.04.19 07:00
NEWSポストセブン
ロックダウン中の中国・上海で、新型コロナウイルスの検査を受けるため列をつくる住民(時事通信フォト)
上海感染爆発 終わりが見えない過酷ロックダウン生活「監視され、薬も食料もない」
 当初、東部は4月1日、西部は4月5日を持ってロックダウンは解除される予定であったが、約2週間以上たった現在でも大半の地域はロックダウンされ続けており、住民たちは物心両面で苦労を強いられている。上海・西浦地区に住む男性駐在員A氏が語る。「ロックダウンが始まって以降、連日続くPCR検査にほとほと疲れています。時には前日の夜12時ごろに検査の通知があって翌朝6時半に検査させられることもあります。そうした徹底的な検査を行なっても、暮らしている居住区の中で一人でも陽性者が出るとまた7日間は部屋のドアから一歩も外に出られない状態が続くので終わりが見えません。 感染拡大以前から上海は厳戒態勢で、ショッピングモールなどに入場する際には入り口で、感染発生地域に居住していないことを証明する『健康コード』と呼ばれる電子マネー決済アプリと連動した安全担保証を提示させられることがありました。ですが、感染が増加し始めた3月中旬以降からは健康コードに併せ、過去2週間の行動履歴が追跡できる行動証明証、さらには48時間以内の陰性証明証の提示を求められるようになりました」 ロックダウン前夜への不穏な空気を感じ取ったA氏が外資系スーパーでブロック肉や野菜、飲料水などを徐々に買い込むようになった時期と前後して、上海では感染爆発の“火種”とも言えるある事件が起きたという。現地記者が解説する。「上海では旧正月と前後して、先に感染が拡大していた香港からの旅客数が増加。そうした旅客者らは到着後のPCR検査後、原則3週間は市が指定する施設での隔離が求められていますが、旅客数が増えるにつれ隔離施設数も限界となり、5つ星クラスのホテルまでも隔離施設として使用されることになった。そうした隔離施設の一つとなった市西部にあるホテル『華亭賓館』でクラスターが起きてしまったんです」 1986年に建設された華亭賓館はブランド店が立ち並ぶ高級エリアに位置し、近辺には日本のアイドルグループ『嵐』や『X JAPAN』がコンサートを行なった上海体育館が隣接している。通常なら隔離施設に使用されるようなホテルではないが、隔離者の増加と改装工事のために同ホテルが一時休業していたため、急遽、隔離施設として使用されることになった。「そのためか、従業員への感染対策教育が徹底しておらず、通常の隔離施設では決して使用しない“全館空調”を誤って使ってしまったんです。そのため、空調を介して陽性者から他の客室の隔離者や従業員に空気感染した可能性が指摘され、運用開始からわずか数日で数十名の感染者を出すクラスターが起きたのです」(同前) さらに感染した従業員らが他の場所でウイルスを拡散し、「感染が市内全域に拡大していった可能性がある」(同前)という。こうした華亭賓館の空気感染の可能性を裏付けるかのように、「外出禁止の隔離期間中に家族全員が感染してしまった」と上海で貿易商を営む中国人女性のBさんは証言する。「うちには私と高齢の父、母の3人が住んでいるのですが、4月1日のロックダウン開始当初は3人ともコロナに感染していませんでした。ですが、4月6日に市から各家庭に支給されていた抗原検査キットで検査をすると父親の陽性が発覚。翌日には母親、その翌日には私の感染もわかったんです。父親の感染が発覚する前日にマンション上階の住人の陽性が確認されていたのですが、PCR検査の時や各棟前の防護服を着た市当局者に監視されながらのゴミ出し以外でドアの外から一歩も出られない状態が続いていたので換気扇や空調を介した空気感染以外考えられません」 幸いにもBさん一家は今のところ咳などの軽い症状がみられるだけだというが、流通、宅配などがマヒし、両親の持病の薬も手に入らない状態だという。さらには数年前にがんを患ったためにワクチン接種を行なっていない両親の病状が「いつ悪化するかもしれない」と日々怯えながら過ごしているという。「警察や市当局にはワクチン未接種で持病のある両親を病院の隔離施設に入れて欲しいと頼んでいますが、人員不足でパンク状態からか、感染発覚してから1週間以上たった今でも受け入れ施設が決まっていません。市東部のロックダウン以降、市からの食糧の配給は数回ありましたが肉や野菜、米など各家庭やマンションによって量や品物にもばらつきがあり、決して十分な量ではありません。仕方ないから、同じ居住区に住む住民らでSNSのチャットグループを作り、ネットで食料の共同購入をしている状態なんです」(Bさん) 上海は大きな区の下に複数の建物が建てられ、柵とゲートで区切られた“小区”に住民の単位が区切られているが、小区によっても規模は数百人単位から数千人単位とばらつきがあり、Bさんが住んでいる小区には1万人以上が住んでいる。Bさんが嘆息する。「市は小区の中で7日間以上陽性者が出なければ小区内の移動を解除し、14日間以上陽性者が出なければ小区外移動を可能にする方針を打ち出しましたが、一人でも陽性者が出ればまた振り出しに戻ってしまうんです。1万人以上の小区で陽性者がゼロになるのは不可能です。これまで私は世界でも有数の国際都市・上海に住んでいることを誇りに思っていましたが、各家庭事情を鑑みた配給もままならず、適切な隔離施設もいまだ割り当てられない現状に心底あきれています」 Bさんの感染の経緯は今のところ定かではないが、折しも3月28日。日本の国立感染症研究所のHPには感染経路としてこれまでは触れられていなかった“エアロゾル感染”が今更ながら明記された。事実上、“空気感染”が認められたことになる。 いまだ連日2万人以上の新規感染者が確認されている上海では、感染者の統計・分析を行なう部署の責任者が4月12日、オフィスで自殺したことが明らかとなった。上海の現実を前に、我が国の感染対策も今一度見直すべきなのかもしれない。●取材・文/大島佑介(ジャーナリスト)
2022.04.18 16:00
NEWSポストセブン
件数は断トツで多いロシアの交通違反を、隣国も注視(写真はプーチン氏。時事通信フォト)
「ロシア外交官ナンバーの駐車違反ワースト1位」指摘したジョージア駐日大使の見解
 ロシアによるウクライナ侵攻を受けて政府は4月8日、在日ロシア大使館の外交官と通商代表部職員の計8人の国外追放を発表した。欧米諸国と足並みをそろえた形の日本に対してロシア側の報復措置への懸念がある一方で、意外な観点からメリットを説いた人物がいた。  在日ジョージア特命全権大使のティムラズ・レジャバ氏だ。普段はジョージアに関して発信しているレジャバ駐日大使が、自身のツイッターに日本語でこう投稿したのだ。 〈ロシア外交官の国外追放によって少なくても日本での駐車違反及びその踏み倒しが減り、道路上の治安が改善されます。 2019年度は外交ナンバーの車のうちロシアが首位で年間1101件(全体の約40%)を記録しておりました〉(4月8日) レジャバ駐日大使が指摘した在日大使館や領事館の外交官ナンバーの車両、通称「青ナンバー」による駐車違反や違反金の「踏み倒し」は、これまでも取り沙汰されてきた。 昨年3月には、在日外交官による駐車違反の未納額が年間4000万円を超え、そのワースト1位がロシアであることが参院予算委員会で明らかになった。 朝日新聞の報道によると、〈ロシアの青ナンバーによる駐車違反の件数は、2018年が2396件と、2番目で222件の中国を大きく引き離して最多だった。全体の6割を占めた。19年は1111件と減ったが、242件で続く中国を大きく上回った〉(2021年6月22日付)という。 さらに、駐車違反金を支払わないまま5年の時効を迎えた「踏み倒し」の件数についてもロシアが最多だとして、〈18年度は1140件。(中略)19年度も1101件にのぼった〉(同)と報じられている。 ウクライナ侵攻で緊張が高まるなか、ロシアの外交官ナンバーの違反の多さについてツイートしたことで注目を集めるレジャバ駐日大使が、改めて本誌『週刊ポスト』の取材に応じた。  早稲田大学を卒業し、キッコーマンでの勤務経験があるため日本語が堪能なレジャバ駐日大使は、「2008年にロシアの軍事侵攻を受けたジョージアとウクライナには共通点が非常に多い」と語る。「もともとソ連の一員で支配下に置かれていたこと、ロシアと国境が接していること、NATO加盟を目指していること、さらにロシアが展開してきた侵略のパターンなど、非常に似ているところがあります。ジョージアは2008年の紛争以降、ロシアとの外交関係を絶っています」 そうしたジョージアの立場を踏まえた上で、日本におけるロシアの外交官ナンバーの駐車違反及び踏み倒しが突出していることを発信したことについて、現在起きているウクライナ侵攻に絡めて、レジャバ駐日大使はこう見解を述べた。「日本では嘘つきは泥棒の始まり、と言いますが、今回はそのような言葉を思い出しました。 同時に、様々な部分でそうした人の本性は現われるのではないかと感じました。国も同じです。それが今の状況にもつながっているということではないでしょうか」
2022.04.18 11:00
NEWSポストセブン
不動産市況が悪化の一途をたどる中国
上海のロックダウン 食糧不足に加え医療崩壊で民衆の不満が極限に
 中国の上海市では、習近平指導部の新型コロナウイルス封じ込めの「ゼロコロナ政策」による都市封鎖で、食糧不足が深刻化している。また病床不足などの医療崩壊で、重度の慢性疾患を持つ患者らが治療を受けられずに死亡するケースが続出しており、民衆の不満が極限まで高まっていることが分かった。ネット上では「上海は死の街になった」「習近平指導部のゼロコロナ政策によって殺される」などとの書き込みも現れている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 上海市トップの李強中国共産党上海市委員会書記は4月中旬、市内の集合住宅を視察していたところ、女性3人に囲まれ、「食べるものがない。市からは米しか配給されず、野菜も肉も魚もない、毎日ご飯しか食べられない」などと苦情をぶつけられた。また、車いすの女性は李氏を指差しして、大声で「あなたは国家に対して犯罪を犯した」などと大声で罵る場面もあった。 これに対して、李氏は彼女らに頭を下げて「みなさんの声をまとめて、上層部に報告します」と答えるのみだったという。 一方、SNS上では慢性の持病があった70代の父を持つ男性が「父は通常なら週に3回の透析が必要だが、この騒ぎで7日間も透析を受けることができず、その挙句に昨日亡くなってしまいました。ゼロコロナ政策で、都市封鎖をするのならば、病人の治療を継続する手配を整えてからにしてほしい」などと訴えていた。 このほかにも、がん患者だった70代の女性の娘は「母は本当ならば1週間前に手術を受ける予定だったが、上海市のロックダウンで、手術が延期され、そのまま亡くなってしまった。その間、市政府に電話で窮状を訴えても、何も聞いてくれませんでした」と書いている。 このような状況は上海市ばかりでなく、上海市近隣の浙江省や江蘇省などにも波及している。ネット上では「政府はゼロコロナ政策で、まもなく都市封鎖を実施する」とのうわさが広がり、食料品を買いだめするため市民がスーパーマーケットに押し寄せる動画が投稿されている。 また、中国南部の大都市である広州市では感染拡大防止策として、4月11日から小中高校の1週間の臨時休校措置をとったほか、市民には市外への移動を制限したことで、市民の間では「ロックダウンの恐れがある」として不安が高まっている。これらの地方政府は「生活用物資は十分あるので、冷静に対応してほしい」と呼びかけているが、ネット上では「政府の言ったことを信じる人はだれもいないだろう」との声が出ている。 また、台湾の中央通信社によると、上海などのロックダウンなどの影響で、中国各地の高速道路で立ち往生しているドライバーが一時約3000万人以上に上ったという。これは中国の貨物・物流産業の約76%を占めており、中国の物流網もマヒ状態に陥っていると伝えている。
2022.04.17 07:00
NEWSポストセブン
グラミー賞授賞式に登場したBTSのメンバー。
尹錫悦新政権がBTS兵役問題を政治利用? ARMYから「許せない」の声も
 2年連続で米音楽界最高峰の栄誉とされるグラミー賞にノミネートされた韓国発のアイドルグループ・BTS(防弾少年団)。惜しくも受賞は逃したものの、4月3日(現地時間)の受賞式では『007』を彷彿とさせるクールなパフォーマンスを披露し世界中の熱狂的なBTSファンたち、通称「ARMY」を喜ばせた。世界的アイドルとなった彼らだが、母国・韓国では新政権の発足を前に、兵役を巡る議論が再燃している。 4月9日、BTSの所属事務所HYBEのイ・ジンヒョンCCOは関係者との懇談会で「アーティストの兵役関連事案が世界的に関心事であるだけに、兵役法改正案が今回の国会で早めに結論が出てほしいと思う」と発言。韓国政府に結論を急ぐよう促した。 30歳までの入隊期限の延長が認められているメンバー最年長者のJINは今年12月にいよいよ満30歳を迎え、このまま法改正がなければ年内に入隊となる。そのため、政府の対応が事務所や本人のみならず、国民的関心事となっているのだ。 韓国で実施された最新の世論調査によると、芸能人の兵役については「兵役免除(特例対象に含まなければならない)」が59%で「特例対象に含んではいけない」が33%と、特例対象とすることに賛成する意見が上回る結果となった。しかし「賛成多数だから兵役免除」という流れに持っていくのは簡単ではないと、在韓ジャーナリストの藤原修平氏が話す。「世論調査の結果に基づいて単純に考えると、5月に発足する尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権がBTSの兵役免除のために法改正をするのではないかという見方もできますが、彼らをどういう資格で免除するのかが問題になってくるでしょう。 兵役法では19歳以上の男性に兵役義務がありますが、国際スポーツ大会や音楽コンクールで優秀な成績をあげた人は、3週間の基礎軍事訓練や、社会的弱者を対象とする活動などに参加することで、兵役が事実上免除されるなどの規定があります。しかしK-POPなどの大衆文化は今のところその規定の対象外です。グラミー賞にノミネートされたとはいえ受賞には至っていないBTSを、実質的な兵役免除となる代替服務をどういう基準で認めるのかとなると、結構ハードルの高い問題でもあります」 次期大統領・尹氏の思惑についてはこう分析する。「BTSは今や世界中にファンを持つアイドルですから、彼らがもたらす経済効果は大きい。そして今から3年ほどが人気絶頂のピークと考えれば、その2年を兵役で潰してしまうのはもったいないし、もっと稼いでほしいというのが尹氏と韓国政府の本音でしょう。5年間の大統領任期のうち、2年で生まれるはずの経済効果を捨てるという判断は難しいと思います」(藤原氏) BTSの兵役免除を巡って揺れているのは政権だけではない。ARMYもまた、複雑な思いを抱いている。 「ARMYには20~30代の女性が多いですが、文在寅(ムン・ジェイン)政権を支持してきたリベラルな層と重なり、5年ぶりの保守系大統領となる尹氏が率いる新政権を快くは思っていない。 その意味ではBTSを“政治利用”することは許さないという気持ちが強いのです。事実上の兵役免除によってBTSの活動を見られるのは嬉しいが、新政権があからさまに世間の人気取りのために兵役特例を認める法改正をしたとなれば、やはり反発心は芽生えるでしょう」(藤原氏) 新政権の発足とともに過熱するBTSの兵役問題を巡る議論。どんな結論が下されるのか、世界中のARMYが見守っている。
2022.04.16 16:00
NEWSポストセブン
(共同通信社)
ウクライナ支援に乗じる詐欺グループ出現 気をつけるべき団体の見分け方
 ロシア軍による蛮行と、ウクライナの悲惨な現状が連日報じられている。目を覆いたくなる惨状だが、そこから彼らを救うためにできることがある。遠く離れた日本からでも、いますぐできる「支援」とはどんなことか。 ほとんどの国際機関やNGOは、ホームページ上で活動内容を公開している。それを見れば誰に向けてどんな支援を行っているかがわかる。 たとえば「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)」は、ウクライナ国内で避難した人たちが滞在できる施設を開設し、国境を越えて避難してきた人々の保護やサポートを行っている。「WFP(国連世界食糧計画)」は食糧支援に重きを置いて活動しており、「日本ユニセフ協会」は子供とその家族を対象に水や衣類を提供している。国際機関やNGOのホームページを見ればより詳しい内容が掲載されているので、自分がどんな支援をしたいのかを考える材料にしてもらいたい。 寄付先の中には、この機に乗じた詐欺グループも存在する。どう見分けるか。寄付アドバイザーの河合将生さんがいう。「団体の連絡先や住所が公開されていないところは気をつけてください。年次報告書や財務報告書、役員名簿などの情報が公開されているかも重要です。また、寄付金には領収書が発行されるのが一般的です。領収書が出ない団体にも注意が必要です」(河合さん) 現地での活動内容について定期的に発信していない団体も要注意だという。新しい支援の形も注目されている。SNSを使った支援だ。ITジャーナリストの小山哲太郎さんが解説する。「大道芸人やストリートミュージシャンなどに投じるお金を“投げ銭”と呼びますが、オンライン上で“投げ銭”できる寄付の仕組みが広まっています。サイト独自のポイントや暗号資産(仮想通貨)をクレジットカードで買い、ウクライナに物資を届ける支援団体などに送るというパターンが多いようです」 ウクライナからの避難民が身を寄せる周辺国で日本人が支援活動を行い、その様子を公開する動画に“投げ銭”が集まるという実例もあるようだ。支援活動が、目に見える状況下でも注意が必要だ。「支援の実態がないのに、寄付を募るという、詐欺を働こうとするサイトが出現しているようです。募金サイトを利用するならURLの最後を確認してください。『.org』『or.jp』の場合は非営利団体が運営していることが多く、信頼の目安になります。 いまでは楽天ポイントやTポイント、Pontaポイントなどでも寄付が可能です。これらは有名大手企業が運営していることもあり、安心して寄付できる方法といえます」(小山さん) 少しでも多くの人の命が救えるよう、手段は慎重に選びたい。※女性セブン2022年4月28日号
2022.04.16 07:00
女性セブン
ウクライナ西部の町で支援物資の衣類を手にする女性(共同通信社)
広がるウクライナ支援の輪 武器や弾薬の購入に使われない寄付先とは
「沈黙以外のどんな方法でもいいから、われわれを支援してほしい」。ウクライナのゼレンスキー大統領が沈痛な面持ちで語りかけると、米ラスベガスの会場は静まり返った。4月3日、ゼレンスキー氏はグラミー賞授賞式にビデオメッセージを寄せ、支援を呼びかけた。中継したテレビ画面には、レディー・ガガやジャスティン・ビーバーといったスターが彼の言葉に聴き入る姿が映し出され、そして、ウクライナ支援の寄付の詳細が紹介された。 ロシアによるウクライナ侵攻は第2フェーズに移った。ロシア軍は首都キーウ(キエフ)占領をあきらめ、部隊を東部地域へ集中させている。これによりウクライナ軍はキーウを奪還したものの、被害はやむどころか日を追うごとに広がっているというのだ。「ウクライナは世界最大級の食糧輸出国でしたが、農地や食料品メーカーの工場などが相次いで破壊され、生産も流通も完全にストップ。空爆や砲撃によってガスや電気といったインフラも遮断。ロシア軍の攻撃は今後も続くでしょうが、マイナス2℃の中、暖も取れず、食糧不足と水不足に悩まされ、医療へのアクセスも失ってしまった人たちが、餓死や病死するケースが後を絶ちません」(国際ジャーナリスト) 冒頭のようにゼレンスキー氏は、各国の国会だけでなく、音楽界の祭典にまで登場し支援を求めており、ウクライナの惨状は世界に知れ渡っている。「支援が必要なのはウクライナに住む人たちだけではありません。約1000万人の避難民が、各国で衣食住を求めています。彼らを助けるには、多額の寄付金や支援物資が必要なのです」(前出・国際ジャーナリスト) 日本でも寄付の輪が広がり始めている。楽天の三木谷浩史会長兼社長(57才)は10億円の寄付を表明した。実業家の前澤友作氏(46才)も金額は明かさなかったもののそれに続き、X JAPANのYOSHIKIや紗栄子(35才)などもウクライナへの寄付を明かした。 徐々にだが、確実にその輪は広がり、特に多額の寄付金が集まっている在日ウクライナ大使館は専用口座を開設。4月1日までに50億円の支援があったという。寄付アドバイザーの河合将生さんが語る。「異国で起きている紛争に、いままでにないくらいの関心の高まりを感じます。現代は、日本のテレビや新聞報道だけでなく、SNSやインターネットを通じて、海外のニュースにも簡単にアクセスでき、より現地に近い情報が手軽に入手できます。それによってウクライナの惨状を身近に感じやすくなったと言えます。 支援活動を行っている団体や寄付募集の情報を目にする機会が多くなり、寄付もインターネット上で短時間でできますから、支援を思い立ってから行動に移すまでのハードルが以前より低くなっていると思います」 しかし支援のつもりで送ったお金が、結果的に紛争を激化させてしまう側面もある。国際政治学が専門で戦争と人道支援に詳しい岐阜大学准教授の上野友也さんが解説する。「寄付金を受け取るのが政府(国)の場合、使途が見えにくい。ウクライナ政府はロシアに対抗するための武器や弾薬を購入する必要があります。集められた寄付金がウクライナ政府に渡された場合、武器や弾薬の購入に使われてしまう可能性は否定できません」 支援のつもりで寄付したお金が武器に変わり、ひいては “殺人”に関与してしまうとしたらどうだろう。抵抗感をおぼえる人も少なくないはずだ。そんな人はどこへ寄付すればいいのだろうか。「人道支援や緊急支援を行っている国際機関やNGO(国際協力活動をする非政府組織)なら、武器に使われることはないと考えられます。寄付を募集する際に、医療支援や子供への支援、水や食糧、避難先での生活に必要な物資の提供、心のケアなど、具体的に使途を明らかにしています」(河合さん)※女性セブン2022年4月28日号
2022.04.15 07:00
女性セブン

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