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首都直下型地震発生リスクが高まっていると地震の専門家指摘

東日本大震災や、現在、地震の発生が懸念される東南海・南海地震などは、沖合で発生して大きな津波を引き起こすプレート境界型の地震だが、1995年の阪神・淡路大震災のように、内陸の活断層で起きる直下型地震も懸念されている。内陸部で起こるこのタイプは津波による被害は少ないものの、家屋の倒壊など大きな被害をもたらす。

東京大学名誉教授の松田時彦氏が説明する。

「過去に地震が発生した形跡があり、また将来的にもその危険性がある断層を“活断層”といい、日本には何千もの活断層があります。それぞれ、おおまかな一定周期で繰り返し地震が起きることがわかっているものの、付近に大地震が発生するとそれに影響を受け、周期が乱れて地震が起きる場合があるようです」

昨年11月26日に東京大学地震研究所が発表した調査結果によると、主要な断層帯およそ170か所のうち、11もの断層帯で地震発生頻度が10倍以上に高まったという。これらはすべてあの東日本大震災の影響だ。

とりわけその発生率が高くなっているのは東北から中部地方にかけてだが、なかでも群を抜いているのが北伊豆断層帯。神奈川県の箱根町南部から湯河原町、静岡県三島市、熱海市、伊豆の国市、伊豆市にまたがる全長約32kmの活断層帯で、震災以前の約70倍も地震発生のリスクが高まっているという。

この場所では過去にも地震が発生していると警告するのが、武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀氏だ。

「3.11ほどの大きな地殻変動は初めてですから、内陸部のひずみも増し、いまはどこで地震が起きてもおかしくない状況。北伊豆断層帯では1930年にM7.3の北伊豆地震が発生し、死者・行方不明者あわせて272人という大きな被害を出していますので、充分な警戒が必要だと思います」

島村氏によると、この直下型地震の発生リスクが高まっているという。

「これまでは震源地が海域だったのですが、それがだんだん内陸へと移っている。プレートの移動によって内陸部のストレスが高まっているのです。首都直下型地震を誘発することは充分にありえます」

1855年11月11日に発生した安政江戸地震がこの首都直下型だった。東京湾北部が震源とされ、M6.9ながら死者4300人、倒壊家屋は1万戸にものぼったという。

現在、政府の中央防災会議もこの安政江戸地震とほぼ同じ震源の「東京湾北部地震」を想定。冬の夕方に発生した場合、死者1万1000人、全壊と火災消失棟数は85万棟を超えるとみている。

※女性セブン2012年1月19・26日号

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