芸能

真木よう子主演『問題のあるレストラン』 視聴率一桁の理由

 ヒットの方程式、は複雑で難解だ。要素を揃えれば数字になるかというとそうでもない。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析する。

 * * *
 真木よう子、二階堂ふみ、高畑充希。女性たちから共感とエールを集める、旬な人材がズラリ。綺羅星のような女優たちが揃って、セクハラ・パワハラオヤジどもを見返す。男社会の理不尽さに向き合い、勝負を挑む「女性応援コメディ」ドラマ。それが、木曜夜放映中の『問題のあるレストラン』(22時~フジテレビ系)。

 脚本は、『最高の離婚』『Woman』等で話題になった坂元裕二。配役も制作陣も、世の流れに乗ってヒットする条件が整っていそうに見えます。

 ドラマの構成も、凝っています。専業主婦、東大出身の秀才、ゲイ、ひきこもり……。タイプのまったく違う7人が、1つのレストランに結集して、「絶対に見返してやる!」と男社会に仕返しを宣言。これって、現代版『七人の侍』? あの映画の女性版トリビュート?

 ロケの風景もいい。舞台は裏原、表参道から少し入った裏通り。都会の空が見える屋上レストラン。背景の高層ビル、入り組んだ路地が、東京という舞台のリアルな感じを上手く醸し出している。

 それなのに……。世間ではさほど話題にのぼらず、7回目までの平均視聴率も一桁台とふるわない。それはなぜ? いったいどこに「問題のあるドラマ」?

 初回は、女性社員が男性上司からひどいセクハラを受けるシーンで幕を開けました。ミスの責任を負わされ、幹部の男性社員たちの前で全裸になり謝罪を要求される、という過激なシーン。

 どうせフィクションだし現実の中にもセクハラはあるし。とは思いつつも、そこまで極端なシーンを見せられると、素朴に気分が悪くなる。

 脚本家は真面目に、女たちのがんばりを応援しよう、という意気込みなのでしょう。セクハラ問題を世に知らしめ社会に問題を喚起していきたい、と語っていました。

 その言葉通り、ドラマの中で男性社員の言動はセクハラ、パワハラの応酬。飲み会でお酌を強要し、女は金で買うものだとか平気で言い、結婚して子どもを生まない女は失格で、男に触られた方が女は綺麗になるという価値観をふりかざし……社長役の杉本哲太、部下役の吹越満、田山涼成らの演技が、あまりにも上手で力が入っていて、見ていてつらい。

 そもそも、仕事で疲れた木曜日の夜、そんなシーンを数々見せられて、元気が出るワーキングウーマンがいる?

「よーし闘うぞ」、「しっかりと問題に目を向けよう」と、奮起する気分になれる?

『問題のあるレストラン』の問題は、そのあたりに潜んでいそう。刺激の盛りすぎ。視聴率が今ひとつ伸びないのも、女性視聴者の素直な共感が集められないことに起因していそうです。

関連記事

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン