芸能

藤竜也 ヒゲを生やした理由とTVが持った圧倒的影響力語る

 1941年生まれの俳優・藤竜也は、人から勧められるまま映画界に入り役者となったが、人気を得たのはテレビドラマがきっかけだった。映画に代わって影響力を増し始めた時代のテレビドラマについて藤が語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏の週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』からお届けする。

 * * *
 藤竜也は1962年、有楽町でデートの待ち合わせをしている時に日活からスカウトされ、大学を辞めて映画界に入る。

「僕はドラ息子でしたから、先なんて考えたことはロクになかった。映画を見るのが好きだから、映画俳優になるのもいいんじゃないか。その程度です。最初は訳が分からないから、歩き方や芝居の仕方は石原裕次郎さんのマネをしていたんですが、できやしないんですよね。

 何年かして、深刻さが分かってきた。大学を辞めて、このまま通行人の役ばかりやっていたらマズイんじゃないかって。

 それで撮影がない時はセットを覗いて他の俳優の演技を見学したりしましたが、1シーンだけ見たって分かりゃしないんだよ。俳優というのは、自分の役を全て精密にデザインしてきているわけですから。それでも何かを分かろうと必死でした。

 ヒゲを生やすようにしたのも、その頃です。顔がつまらないから、少しでもくっつければ、少しつまるかな、と。拙いことだけど、なんとか浮上しなくちゃと思ってやったんですよ。
 
 通行人の役をしなくても済むようになってからは、撮影所にアクションの道場があって、仕事がない時はそこで殴られる稽古をしていました。撮影所にトレーニングに行っていた。何かしていないと、何をやってるんだか分からなくなって不安だから。体を痛めながら、次の仕事が来るのを待っていました。二か月も三か月も音沙汰のない状態で耐えるには、何かをやっていないとダメだったんです」

 1971年、日活は撮影所を一時閉鎖して製作部門を大幅に縮小、ここで藤はフリーになる。そして1973年、久世光彦演出によるTBSドラマ『時間ですよ』で、毎回スナックの片隅に座る謎の男を演じ、人気を博する。

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン