スポーツ

人間なら56才の老馬 競馬優勝で興奮しアソコが1m伸びる

『旭山草ばん馬競技大会』。

 旭山は帯広市内から車で小1時間。ここは「ばん馬」といい、広く知られている帯広の競技は「ばんえい競馬」と呼ぶ。いずれも、北海道の馬の文化を絶やさないことと、町興しをめざす。人間なら56歳、馬年齢では13歳。50万円の肉値で売られるところを60万円で買いとられた老い馬、バージが活躍しているのもこのばんえいである。
 
600キロの重荷を曳く過酷なレースから一度は引退したが、今年7月に復帰、第1戦で、いきなり圧勝した。 以降、快進撃が始まり「中高年の星」と呼ばれるようになった。そんなバージのレースを山藤章一郎氏が追った。

******************************
 帯広での第7レースにバージが登場した。全長は200メートル。レースの中盤まで引き離されていたバージだったが、終盤近くでたてつづけに鞭が入る。「さすがにもうだめだ」と溜息を洩らした観客たちから、次の瞬間、どよめきがあがった。
 
 バージが後方から一気にゴールをめざして泥土に肢を踏み込む。先行馬との距離がみるみる縮む。ゴール直前の10メートルで先行馬にならんだ。そして一瞬で抜き去り、老い馬はゴールインした。

 観客席から「さすが」の大喝采があがった。2分を少し切るタイムだった。着順判定は、ふつうの競馬のように鼻先でも早くゴールに入った馬が1等になるのではない。600キロもの重量物を曳いて、ゴールで後退したり前に進んだりする馬もいる。そこでそりのいちばん後ろが入ったときが着順となる。

 眼前でバージは大きな鼻息を噴きだした。極度の興奮にあるのか、チンポが1メートル近く、あるいはそれ以上伸び出している。

 1等賞品は、賞状、トロフィー、米5キロ、卵30個、それに参加した馬がみなもらえる20キロのふすま。旭山のこのばん馬に賞金は、ない。参加料1万円。トラックで馬を運んだ費用2万円。

 騎手の川端さんが笑う。「なんぼやっても儲からないよ。だけどな、こいつは1回、肉にされかけた。走ってたら、嫌なことも頭に浮かぶ。しかしもういっぺん頑張ってみようって。私も、農協職員を退職したけど、まだやることあるだろ、頑張ってみろよって、こいつに教えられましてね」

※週刊ポスト2010年10月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

カトパンこと加藤綾子アナ
《慶應卒イケメン2代目の会社で“陳列を強制”か》加藤綾子アナ『ロピア』社長夫人として2年半ぶりテレビ復帰明けで“思わぬ逆風”
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《2人で滑れて幸せだった》SNS更新続ける浅田真央と2週間沈黙を貫いた村上佳菜子…“断絶”報道も「姉であり親友であり尊敬する人」への想い
NEWSポストセブン
ピンク色のシンプルなTシャツに黒のパンツ、足元はスニーカーというラフな格好
高岡早紀(52)夜の港区で見せた圧巻のすっぴん美肌 衰え知らずの美貌を支える「2時間の鬼トレーニング」とは
NEWSポストセブン
事務所も契約解除となったチュ・ハンニョン(時事通信フォト)
明日花キララとの“バックハグ密会”発覚でグループ脱退&契約解除となった韓国男性アイドルの悲哀 韓国で漂う「当然の流れ」という空気
週刊ポスト
かつて人気絶頂だった英コメディアン、ラッセル・ブランド被告(本人のインスタグラムより)
〈私はセックス中毒者だったがレイプ犯ではない〉ホテルで強姦、無理やりキス、トイレ連れ込み…英・大物コメディアンの「性加害訴訟」《テレビ局女性スタッフらが告発》
NEWSポストセブン
お笑いトリオ「ジャングルポケット」の元メンバー・斉藤慎二。9ヶ月ぶりにメディアに口を開いた
【休養前よりも太ってしまった】元ジャンポケ斉藤慎二を独占直撃「自分と関わるとマイナスになる…」「休みが長かった」など本音を吐露
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《TOKIO解散後の生活》国分太一「後輩と割り勘」「レシート一枚から保管」の節約志向 活動休止後も安泰の“5億円豪邸”
NEWSポストセブン
中山美穂さんをスカウトした所属事務所「ビッグアップル」創設社長の山中則男氏が思いを綴る
《中山美穂さん14歳時の「スケジュール帳」を発見》“芸能界の父”が激白 一夜にしてトップアイドルとなった「1985年の手帳」に直筆で記された家族メモ
NEWSポストセブン
STARTO ENTERTAINMENTの取締役CMOを退任することがわかった井ノ原快彦
《STARTO社取締役を退任》井ノ原快彦、国分太一の“コンプラ違反”に悲しみ…ジャニー喜多川氏の「家族葬」では一緒に司会
NEWSポストセブン
仲睦まじげにラブホテルへ入っていく鹿田松男・大阪府議(左)と女性
石破“側近”大阪府連幹部の府議、本会議前に“軽自動車で45分ラブホ不倫” 直撃には「知らん」「僕と違う」の一点張り
週刊ポスト
中居正広氏と被害女性の関係性を理解するうえで重大な“証拠”を独占入手
【スクープ入手】中居正広氏と被害女性との“事案後のメール”公開 中居氏の「嫌な思いをさせちゃったね。ごめんなさい」の返事が明らかに
週刊ポスト
結婚式は6月26日に始まり3日間行われた(時事通信フォト)
《総額72億円》Amazon創始者ジェフ・ベゾス氏の豪華結婚式、開催地ベネチア住人は「億万長者の遊び場に…」と反発も「朝食17万円、プライベートジェット100機貸し切り」で市長は歓迎
NEWSポストセブン