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落合信彦氏 中国が自壊しないなら弱点に日本がアプローチを

尖閣沖での漁船衝突事件以降、傍若無人な振る舞いを続けている中国に、日本政府は全く有効な手立てを打てていない。その無策ぶりは目を覆いたくなるようなものだが、日本のみならず世界中の国々が、この膨張する「ならず者国家・中国」に手を焼いているのが現状である。では、そんな中国の「弱点」をどう見出せばいいのか。国際ジャーナリストの落合信彦氏が指摘する。

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内部から中国が自壊することを望めないならば、外からアプローチするしかない。

例えば、投獄されている民主活動家の劉暁波がノーベル平和賞を受賞したことはいいチャンスである。中国の弱点である「人権問題」に世界的な注目が集まるのだ。日本政府は何よりもまず、「そちらの国の方がノーベル賞を受賞したそうでおめでとうございます」と胡錦濤宛に祝電の一つでも送りつけてやればいい。

強烈な皮肉になるだろうし、世界中から日本人のユーモアのセンスが見直されるだろう。もごもごと口ごもっている首相や官房長官を見るに、そんな発想はないようだが。

忘れてはならないのは、この手の「人治国家」と対峙する時に、向こうに甘く見られたらお仕舞いだということである。アメリカも深刻な不況のために対中外交に注ぐ余力のない状態に陥っているが、まだ日本よりマシである。

それはダライ・ラマ14世が訪米した時と、日本にやってきた時の中国政府の抗議の仕方を見ていればわかる。日本に対しての抗議のほうが明らかに手厳しい。中国から甘く見られている証拠ではないか。

菅や仙谷、前原らは尖閣沖での漁船衝突ビデオ公開という、国際世論を日本の味方に付けるチャンスもフイにしてしまった。中国は決して無敵な存在などではない。むしろ歴史を深く学べば、「弱点」がはっきりと見えてくる。

だが、露見した弱点を的確についていかなければ、事態は何も変わらない。今の国際政治の舞台には、レーガンもサッチャーもゴルバチョフもいない。自分たちからアクションを起こさなくてはならないのだ。

目先の報復を恐れて腰の引けた対応ばかりしていては、中国の好き放題な振る舞いを追認しているのと同じではないか。

※SAPIO2010年11月24日号

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