国内

小沢氏の政治資金疑惑「説明責任すでに果たした」と専門家

 大新聞を中心に小沢一郎・民主党元代表の政治資金をめぐる疑惑報道が繰り返されている。

 小沢氏は2009年の総選挙で91人の民主党候補に約500万円ずつ、総額4億4900万円の選挙資金を寄付し、88人を当選させた。原資の大部分は新生党時代に集めた献金を解党後に蓄えていたものだった。

 読売新聞は小沢氏の政治資金管理団体・陸山会から献金を受け取った議員たちに詳細なアンケートを実施。そのうえで、献金を受けた全議員リストと、彼らが9月の代表選で菅氏と小沢氏のどちらに投票したかを分類して、「『小沢部隊』、カネで形成」(12月1日付)と報じた。

 論理が無茶苦茶だ。小沢氏が資金を配ったのは2009年8月。政権交代もしていない段階で、「1年後に代表選があるからよろしく」と頼んだとでもいうのだろうか。

 民主党代表選の「政治とカネ」の問題を報じるなら、むしろその代表選前後に官房機密費がどう引き出され、誰にカネが配られたかを徹底調査すべきだろう。本誌は、その時期にマスコミ界の大物に資金提供を申し出た政権首脳について重大な証言も得ている。
 
 政治資金に詳しい岩渕美克・日本大学法学部教授(政治ジャーナリズム論)は一連の報道に警鐘を鳴らす。

「小沢氏からの寄付に違法性はない。資金の出入りもしっかり報告されている。これまでの小沢氏のカネに対する批判の一つは、巨額の政治資金を私物化しているのではないかという疑問で、それに対する説明責任が問われ続けた。

 しかし報告書を読めば、新人候補への選挙支援に5億円近いカネを使ったのだとわかり、これにより説明責任もしっかり果たしている。それを牽強付会な論理で批判する政治家やマスコミの発言や報道には呆れるほかありません」
 
 これが「政治とカネ」問題の正体である。

※週刊ポスト2010年12月24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」とは
《「ととのった〜!」誕生秘話》『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン