国際情報

中国人記者 日本メディアが自国首相を叩く意味が理解できない

 共産党がコントロールする中国メディアに、機密情報の漏えいやリークによるスクープ記事はあり得るのか。われわれ自由主義社会と異なる中国社会では、国家機密情報の漏えいは死刑にも値する犯罪である。かの国のメディアの「常識」を、ジャーナリストの富坂聡氏が指摘する。

 * * *
 ウィキリークスの暴露事件に関し、中国のメディアは概して冷静である。それはウィキリークスが暴露した情報の中に、中国の外交を揺さぶるような内容が含まれていないということがあるのかもしれない。

 もちろん、たとえウィキリークスの中に中国の機密情報が含まれていたとしても、当局の厳格な規制でメディアに流れることはない。

 中国の新華ネットに「アサンジ」「ウィキリークス」の文字を入れると4902件の記事が検出される。12月20日付の記事は〈アサンジが次のターゲットに定めたのはアメリカの銀行〉、〈アメリカの副大統領がアサンジに対して法的措置を検討〉など18件みつかるが、どれも中国には関係のないもので、ストレートニュースである。報道全体から受ける印象は、伝えてはいるが盛り上がってはいないということになるのだろう。

 このある種「冷めた反応」は、記者の持つ文化の違いにある。中国の記者には、そもそも「暴露」記事を書くことへの動機をあまり強く持っていない。それは権力との距離感からくる違いである。

 例えば、中国の記者は概して、自国の首相であろうと平気で叩く日本メディアの報道姿勢に対して否定的な反応を示す。「自国のトップを貶める意味が分からない」というのだ。

※SAPIO2011年1月26日号

関連キーワード

トピックス

滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
元・明石市長の泉房穂氏
財務官僚が描くシナリオで「政治家が夢を語れなくなっている」前・明石市長の泉房穂氏(62)が国政復帰して感じた“強烈な危機感”
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン