国内

退職金655万円元JALスッチー 職安で美意識ない人に驚く

多くの社員がリストラされた日本航空。花形職業といわれたスッチーこと客室乗務員をやめた人々はいまどんな生活を送っているのか、ジャーナリストの山藤章一郎氏がそんな一人に話を聞いた。

* * *
「なあんだ、意識変えたら再就職なんて大したことないじゃんって。いい企業じゃなくても、居酒屋の厨房だって、ファミレスの店員だって働けるじゃんって」――勤続年数15年。退職金655万円。昨22年に退職した元CA(かつてはスッチー、客室乗務員)お目目パッチリひまわりフェイスのY子さんの口は滑らか。

栗色のヘア。白いセーター。

〈ロイホ〉で煮込みハンバーグランチを完食し、ドリンクバーを往復する。その間のインタビュー。

「JAL辞めてなにも自信ないって。CA以外の仕事無理って。同僚からへこみメールしょっちゅう。

でもまあそう思うのはしょうがないとこもあんの。先輩のおばさまから『あなたたちは日本航空のために忠を尽しなさい』『わが社に全身全霊で貢献しなさい』そればっか、いわれてきたんだもんね。

なにが全身全霊よ。でも外に飛びだせば、JALはしょせんJAL。世界は広いぜ。仕事なんていくらでもあるぜと。

英語少しできるしぃ、一般常識もマナーも、合コンでつちかった人脈もあるぞと。それ生かそと。あとで、合コン結婚の話もフリン話もお教えしますけど」――Y子さん、退職時の〈辞令〉ほか、社長ご挨拶も見せてくれた。

「○○Y子殿 長い間のご勤務、本当にお疲れ様でした」と始まり、会社も結構がんばったけど、「特別早期退職制度を断腸の思いで実施いたしました」そのことをご理解いただき、退職してください、と。

今後は「Y子さまが夢と情熱をかけられたJALを必ずや再建」させますから、あなたもがんばってくださいね、という内容である。

これに別紙がついていた。「国内線私用搭乗 50%割引 国際線私用搭乗 90%割引 利用停止」

「辞めて、職安行きました。そこでびっくりしたの。化粧、ヘア、美意識のかけらもない人たちに。でも、すぐにこれが普通だと気づいて。あたしたちはメイク、歩き方、坐り方まで徹底されたけど、そんなあたしたちがこの世にどんだけいるんだよって。世界はJALとCAだけでモッてるとこれまで思ってたんです」

※週刊ポスト2011年2月11日号

関連キーワード

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン