50年ぶりに相続税の制度が大きく変わる。いま開かれている国会で法案が通過することが前提だが、4月から相続税の税率が大幅に引き上げられ、かかる対象も1.5倍に増える見込みだという。
「うちの遺産も半分くらい税金に持っていかれるんじゃないか」などという不安の声も上がっているが、“庶民”にはその心配は必要ないらしい。
家計の見直し相談センター・藤川太さんが解説する。
「例えば、夫が亡くなり、妻と子供2人が残されたケースで考えてみると、これまでは不動産も合わせた遺産8000万円までであれば相続税がかかりませんでした。今後は4800万円にまで引き下げられますが、よほど裕福な家庭でない限りこの額を超えることはありません」
新税制では、現在5000万円+1000万円×法定相続人の数だった基礎控除額が3000万円+600万円×法定相続人の数に引き下げられる。しかし、その新税制でも、死亡者から遺産を引き継ぐ人のうち、相続税がかかるのは全体の6%程度にすぎないという。
むしろ注意しなければならないのは、「うちの遺産はもめるほどないよ」と高をくくっている人の、税ではなく遺産分割のほうだ。たとえ遺産が1円であっても、家族の誰かが亡くなれば必ず「相続」が発生する。「仲のよいきょうだいでもお金が絡むとドロドロしてしまうことはよくあります」(前出・藤川さん)
遺産トラブルが発生している家族の遺産額をみるとわかりやすい。2009年に裁判にまでもつれこんだ遺産トラブルのうち、7割以上が遺産5000万円以下のケースだった。
※女性セブン2011年3月3日号