ライフ

元東レ経営者 妻3度の自殺未遂受け入れ「運命楽しめ」と語る 

 20代から30代に向けて、自らの体験を交え、幸せに働くためのエッセンスをまとめた著書『働く君に贈る25の言葉』(WAVE出版刊)が20万部のベストセラーとなっている、元東レ経営研究所社長の佐々木常夫氏(現・特別顧問)。氏が、学生に向けて就職活動を幸せに乗り越えるための言葉を贈る。

 * * *
「やり尽くしたが、自分の不本意な結果になった」――でもそれが人生です。例えば内定をもらった会社が、それほど希望するところじゃないかもしれない。でも私は、その運命を引き受けた方がいいと思うのです。賽は投げられたのです。

 私は東レという会社に入りましたが、理由は「先輩が強く勧めたから」というだけ(笑)。どの会社も働いてみなければわからない、と思っていました。だから、極端な話、会社はどこでも良かった。就職してからも、希望部署を出さなかったくらいですから。実際、会社なんて、どこも似たようなものですよ。社長までやった私が言うんですから間違いありません(笑)。

 人生は、思い通りにいかないからこそ、君自身が成長するチャンスなんです。私も、そうでした。

 私の長男は自閉症です。妻は私が40歳の時に肝臓病になり、その後うつ病を併発しました。3度におよぶ妻の自殺未遂の時は、自暴自棄にもなりかけました。でもこれが運命です。家族と仕事を両立するために、私は効率的な仕事術を身につけました。人生を見つめ直す契機にもなりました。人生のピンチを、自分を磨くことに利用したのです。

 就職活動も、その後の会社生活も、それと同じです。つらいことでも、嫌なことでも受け容れて、それを自分磨きの糧にしてしまう。

 実際、成功した人は皆そうなのです。例えば、元経団連会長の奥田碩さん。トヨタの改革者としても知られますが、氏はかつてフィリピンに飛ばされていました。

 東レのライバル会社帝人の社長を務めた安居祥策さん(現・日本政策金融公庫総裁)もそう。帝人にいた半分近くを関連会社に出向させられていました。でも彼らは、諦めなかった。人生を受け容れて、自分を磨いたからこそ、社長にまで上り詰め、さらに結果を出したんです。

 運命を引き受けることは、諦めることとは違います。運命を楽しむのです。だってそうでしょ? 君の人生の主役は、君しかいないのですから。

※SAPIO2011年3月9日号

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン