国内

美人秘書 43万人分の新幹線チケット詐欺で被害額10億円

 あくまで“美人秘書”は会社としての正規取引を装った。

「ギフト券を取引先に謝礼としてお渡ししたい。代金は後で支払いますから――」

 警視庁は3日、製薬会社「万有製薬」(現MSD)の社長室長秘書当時に松坂屋、ホテルオークラなど4社から商品券計1000万円を騙し取ったとして、五木麻衣子容疑者(40)を逮捕した。

 捜査関係者が明かす。

「小柄で童顔、髪の毛はショート。とても40歳には見えない。趣味がバレエということもあってかスレンダーで清楚な美人という雰囲気です。今でも年に数回、バレエの発表会の舞台にたっているといっていました」

 夫もいる身というが、犯行内容は大胆だった。捜査関係者が続ける。

「容疑者は日本IBM、外資系医療機器会社などの大手企業の秘書を歴任しており、それぞれで詐欺に及んでいる。今後、詐欺の舞台は数十社に広がると見られています」

 支払いは翌月という点を悪用して金券を換金した上で代金を支払う。元手がないので自転車操業の形で詐欺を繰り返す。一部は、ブランド物の服の購入代などにも充てていたようだ。

 2006年から詐欺行為に手を染めて、判明しているだけで取引総額約60億円、被害総額約10億円に上っている。捜査関係者によると、五木容疑者は、旅行代理店相手に、57億円相当の新幹線チケットを不正に取引していたという。東京大阪間で換算すると、約43万人分。この恩恵に、事件について何も知らないビジネスマンがあずかっていたということになる。

※週刊ポスト2011年3月25日号

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