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2011.04.06 07:00  週刊ポスト

都心湾岸エリアを襲った液状化現象 どんな場所が危険か?

 津波で壊滅した東北の港町や福島第一原発事故が連日クローズアップされるなか、忘れられた被災地が都心の湾岸エリアだ。住民の生活基盤が破壊されたという点では、液状化現象が発生し、ゴーストタウン化した高層マンション街も悲劇的だ。なぜそうなったか。防ぐことはできないのか。建物自体は壊れなくても、地盤が液状化し、マンション全体が傾いてしまえば元も子もない。
 
 大手不動産会社の営業マンは語る。

「戸建ての場合は陥没した箇所をジャッキアップすれば再び住めるが、マンションの場合、傾きを修正すること自体が不可能です」

 耐震性と並んで重視すべきポイントが「地盤」である。日本地震工学会元会長の石原研而・中央大学研究開発機構教授がいう。

「今回、建て替えが必要になったというマンションはなかったが、下水管に砂が詰まったり、住居棟以外の敷地内の土地が波打って水浸しになったりして住めなくなったというケースが多い。液状化に対する危機感が希薄だった」

 それではどんな場所が危険なのだろうか。

「海や川に限らず、造成前に窪地や水田だった場所も砂が締め固められにくいので液状化しやすい。内陸の埼玉・久喜で液状化被害が報告されているが、あの一帯は水田地帯を埋め立てて家を建てていた」(同前)

 マンションの立地が安全かどうかを確認するにはどうすればいいのか。今回の地震以降、各自治体が公表する「液状化マップ」が話題となっているが、石原氏は「マップを過信するのは禁物」という。

「液状化問題が注目されたのは1964年の新潟地震で、それ以前は埋め立て工法において液状化の対策はまったくといっていいほどとられていなかった。なので、1964年以前の造成地は、マップ上では低い危険度と表示されていても、被害が起きやすい箇所がある」
 
 また、マップの縮尺が大きいため、一棟ごとの危険度を知ることもできない。住宅検査や耐震診断を行なう「さくら事務所」の長嶋修・代表がいう。

「マップでは安全地域とされているのに、地震が起きた時に特定のマンションの周囲だけが液状化したケースがある。調査してみると、その場所に以前に小さな沼があったのです。煩わしい作業ではあるのですが、地元の図書館などで古地図を調べてみることを勧めます。そうすれば、住んでいる場所の地歴がわかります」

 近年施工されたタワーマンションの場合、支持基盤(固い岩盤。深いところで地上から50mほど)に基礎杭を数十本も打ち込むことで、「液状化しても沈んだり、傾いたりしない」という売り文句もよく耳にする。だが、それも絶対に安心ではない。

 中堅ディベロッパー元社員がいう。「基礎杭を打つ主流の工法は、地中深くに掘った穴に筒状に編んだ鉄筋を据え、その筒の中にコンクリを流し込むというものです。しかし、穴に地下水が入りやすく、コンクリに水が染みてしまうことが多い」
 
 そもそも、水田だった場所でさえ危険があるのだから、海に土砂や廃棄物を埋めて造った土地が絶対安全など、あり得ない。現に、行政も業者も大丈夫といっていた場所で、阪神でも東京湾岸でも被害は出たのだ。
 
 少し乱暴な言い方なので参考程度に聞いてもらいたいが、「昔は“水が出る土地”は住みにくい場所の典型例で、開発が遅れた地区が多い。都心に近いのに昭和後期まで開発が進まなかったところは地盤が弱い可能性がある。地名に『沼』や『沢』が付く場合も、水があった場所であることを示している」(大手ゼネコン幹部)。

※週刊ポスト2011年4月15日号

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