国内

米放射能等対処専門部隊「CBIRF」 福島へは行っていない

日本を襲った大災害に、米国から約2万人の“トモダチ”が、113機の航空機、艦船12隻を引き連れて駆けつけた。こうした支援は親米メディアの間で大絶賛され、「日米同盟の重要性が再認識された」と盛り上がっている。

颯爽と登場したのが、海兵隊の放射能等対処専門部隊「CBIRF」(シーバーフ)だった。同部隊は4月上旬に約150名が来日、9日には横田基地での訓練を報道陣に公開した。その模様は新聞やテレビで「核戦争を想定した訓練を積んだ特殊部隊」と報じられたため、“原発事故を収束させる救世主”のような印象を抱いた国民も多かったのではないか。

ところが違うのである。初動対応部隊を率いるクルスマン大尉は、「日本政府から要請があれば直ちに出動する」といった後に、「我々が行なうのは人命救助だ」と釘を刺した。

クルスマン大尉の説明通り、同部隊の任務は原発の事故処理ではなく、放射能の除染や治療。したがって、福島第一原発の20km圏内から住民が退避する際、自衛隊が行なった作業と変わらないのである。そもそも、米国防総省は最初から米軍に原発半径50海里(約93km)区域への立ち入りを禁じているため、CBIRFは「福島には行かない」のだ。

防衛省幹部が複雑な表情で語る。

「CBIRFの派遣は米政府からの強い要請で、日本が受け入れた形。活動する予定もないのに訓練風景を公開したのも解せない。福島で防護服を着て事故処理に協力している陸自部隊が頼りないような印象さえ持たれてしまった」

※週刊ポスト2011年4月29日号

関連キーワード

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン