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孫正義氏が10億円を投じる「自然エネルギー財団」設立の背景

 ソフトバンク社長・孫正義氏の「志」に迫った本誌連載『あんぽん孫正義伝』。連載終了と同時に日本を国難が襲った。孫氏は次々と被災者支援を打ち出す。以下は、『あんぽん』筆者の佐野眞一氏(ノンフィクション作家)と孫氏の一問一答である。

 * * *
――先日、孫さんは老朽化した原発にかえて、太陽光などの自然エネルギーにシフトすべきという、脱原発復興プロジェクト構想を民主党に提言しましたね。100億円の個人寄付とは別に10億円の私財を投じ、自然エネルギー財団も設立すると。

「大震災の前まで僕は原発反対派でも推進派でもありませんでした。ニュートラルというか、考えていなかった。ところがこの1か月で、原発の恐ろしさというか、これが魔物だということをつくづく考えさせられた。原発に頼りきる以外に本当に選択肢はないのかと。

 そのために自然エネルギーを研究開発するような財団を数か月以内に作ろうと考えました。今すぐ原発を全廃せよというのは現実的には無理です。だけど徐々に依存度を下げていかなければいけないと思う」

――原発がなければ日本の経済発展は維持できないという原発容認論も、事故を起こした以上、原発は即時撤廃すべきだという否定論も、妥協点なき“原理主義”という点では同じです。それに比べて孫さんの意見は説得力があります。

「政府はまずそれに向けた明確なビジョンを示すべきです。まず原発って、だいたい40年が寿命で、世界では30年単位で廃炉にしていくのが普通です。福島のように、40年も使用しているのはごくわずかだそうですよ。無理に運転するのはやめて、安全運転の基準をより厳格にすべきですね。加えて、原子力安全・保安院だとか委員会への天下りとかを断ち切って、チェックアンドバランスを保たないと。そうしたいくつかの指針を明確にする。そのうえで着地すべき自然エネルギーへの方向性を示すべきです」

※週刊ポスト2011年5月6日・13日号

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