国内

櫻井よしこ氏 菅政権の絶望的無能さを5つの観点から検証

 震災から1か月以上が経過しても明確な復興計画を打ち出せず、原発の事故対応も右往左往。この国の指揮官であるはずの菅直人氏の体たらくは、国民を呆れ果てさせた。『宰相の資格』の著書があるジャーナリストの櫻井よしこ氏が、菅氏の「情けないリーダーシップ」を喝破する。

 * * *
「カミソリ」「危機管理のプロ」と言われ、中曽根内閣の官房長官として内閣安全保障室などを立ち上げた後藤田正晴氏は、「信じたくもない、聞きたくもないという類の悪い情報、本当の情報を真っ先に報告せよ」が口癖だったそうです。初代同室長だった佐々淳行氏にうかがった話です。

 佐々氏は、「菅首相は『後藤田五訓』を見習うべきだ」と言います。それは、【1】省益を忘れ、国益のみを考えよ 【2】最悪の情報を上げよ 【3】勇気を持って意見具申せよ 【4】自分の仕事じゃないと言うな 【5】激しく議論して、決定した後は直ちに命令を実行せよというものです。

【1】については、菅氏は、自分がいかに長く政権の座にあるかしか考えていないようです。これは省益も国益もなく、私益です。

【2】については、菅首相の行なってきたことは正反対です。「そんなことは聞いていない」「どうなっているんだ!」などと部下や関係者を怒鳴りつけている。そのため周囲は、怒鳴られない情報、楽観的な見方ばかりを伝えるという悪しきパターンに陥っています。結果として、【3】がまったく行なわれていません。意見具申すると返ってくるのは叱責ばかり。これでは官僚も政治家も首相に意見を言わなくなるのは当然です。

【4】について言えば、菅氏の下では会議や対策本部が乱立していますので、もはや当事者たちも何が自分の仕事なのかがわからないのではないかとさえ思います。

【5】については、震災から日数が経っても被害からの立ち直りが進んでいないことを見れば、この政権の絶望的無能さがわかります。

 災害に見舞われた時、最悪の事態を回避するにはどうすればいいのか。どのような対策が必要で、そのための人員、資材や機材をどう調えるか。そうした情報を把握したうえで総合的な計画を立てる、国家的な仕組みを作ることが必要です。

※SAPIO2011年5月25日号

関連キーワード

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン