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仏文学者鹿島茂氏 日本の晩婚化・少子化対策に舞踏会を提案

嫉妬すればするほど子供は増える? フランスでは、“貞操義務”なきPACS(連帯民事契約)という男女の形があるという。フランス文学者の鹿島茂氏は日本の晩婚化・少子化対策にはフランスに学ぶべきと語る。

* * *
嫉妬は愛が死ぬところで死ぬとは限らない──17世紀のフランスの文学者ラ・ロシュフコーが書いた、嫉妬は愛より長生きするといった意味の言葉だが、日本人のセックスレスの原因を見事にいい当てている。

他の男の視線にさらされない女には、男は欲望がわかない。結婚し、ひとつ屋根の下で暮らしていると、夫は安心しきってしまい、ときめかなくなる。反対に「他の男に取られるかもしれない」という緊張感があれば、男と女の関係は持続される。夫にとって妻はずっと「女」であり、自らも「男」でいられるのである。

私は日本の晩婚化・少子化対策の切り札として舞踏会の開催を提案しているが、舞踏会では常にパートナーチェンジを行なわなければならない。夫婦でも一緒に踊るのは1曲だけで、あとは別々のパートナーと踊るのがルールである。すると亭主は、自分の妻が他の男に抱かれてチヤホヤされるのを見ることになり、嫉妬心でムラムラする。ラ・ロシュフコーのいうように、それにより愛は長生きし、セックスレスはたちどころに解消されるだろう。

また、日本では「出会いがない」といわれ、今や婚活パーティを自治体が開催する動きまであるが、フランスでは舞踏会はもちろん、カフェや映画館など街の至る所で男女は出会う。レストランに一人で入っても知らない者同士がテーブルを囲み、ワインを酌み交わす。必然的に話をするわけだ。そうしたトキメキの機会が日本にないことが、この国の晩婚化・少子化の根本にあるのである。

※週刊ポスト2011年6月3日号

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