国内

今年の自殺者増 上原美優さんの影響説と震災説で議論発生

自殺者急増の原因を巡って議論が巻き起こっている。

ことの発端は、7月4日、内閣府の自殺対策会議における、清水康之内閣府参与(NPO自殺対策支援センター・ライフリンク代表)らの次の報告だった。〈今年5月の自殺者の急増は、女性タレント自殺の影響――〉

女性タレントとは5月12日に亡くなった上原美優さんのことだ。今年の自殺者数は1日平均82人(10年の年間自殺者数は3万1560人)だが、上原さんの自殺翌日から1週間は1日平均124人が自殺した。増加分の半数以上を20~30代以上が占め、都市部の女性の伸び率が高かったという。

清水氏は、「(上原さんを巡る)センセーショナルな自殺報道が、〈生きること〉に留まっていた若年女性たちの背中を押してしまった」とツイッター上でコメントしている。

一方、自殺者急増については別の意見もある。24時間体制で自殺企図者からの相談電話を受けるNPO法人自殺防止ネットワーク風代表の篠原鋭一氏はいう。

「有名タレントの死が自殺の引き金になるのは一時的。それより、もっと大きな世の流れが背後にあると思う。それは震災の影響です。震災直後、自殺者数は目に見えて減少しました。9.11のアメリカでもそうでしたが、大災害の現実は、自らの境遇を忘れさせ、自殺企図者にブレーキをかける。

だから震災報道が続く間は減少傾向にありましたが、報道が“復興”に転じた5月以降、うちへの相談電話が急激に増えた。被災者の方たちの状況に同情しても、彼らに救いの手が差し伸べられる様子を見て自分自身の孤立を余計に意識したんでしょう。震災後の社会不安と相まって、その不安感はより深刻になっています」

※週刊ポスト2011年7月22・29日号

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン