国内

被災のため納期教えない日本の部品工場に台湾大手企業が激怒

 電力の供給問題は、日本にとって喫緊の課題である。電力が絶対的に不足する期間が3年も4年も続いたら、日本から大半の産業が逃げ出してしまう。その危険性を、大前研一氏が指摘する。

 * * *
 第一陣は外資系企業だ。日本の電力不足の状況と日本政府の対応能力のなさを見て、すでに外資系企業の日本の社長たちは、日本にある工場やオペレーションを他の国に分散するBCP(事業継続計画)を一刻も早く提出するよう本社から要求されている。彼らは自分のクビがかかっているから、のんびり構えてはいられないのだ。

 さらに、日本だけに部品や機械を依存していたらリスクが高いと思い知った東アジアのメーカーが、調達先を日本以外に分散することも必至だ。

 この4か月でとくに苦労したのは世界最大のEMS企業である鴻海精密工業、パソコンメーカーのASUSやクオンタ、スマートフォン・携帯情報端末メーカーのHTCといったチャイワン勢(提携・協力関係にある中国・台湾企業)だ。

 なかには部品を東北地方の一工場に全面依存していたため、生産ラインが完全にストップしたケースもあった。

 過日、台湾の大手EMSメーカーの会長に話を聞いたところ、日本側の不誠実な対応(納期と出荷量を全く教えてくれない)に激怒していた。事情は理解しているが、これでは共倒れになってしまうと危惧している。

 いま日本の部品メーカーや機械メーカーの顧客が望んでいるのは、日本に依存していた生産能力の半分を海外に分散することだ。チャイワン勢は、台湾か中国ならいつでもお世話しますよ、と手ぐすねを引いて待っている。現状のまま打開策が見いだせないと、今後、「脱日本」が、双方の事情で加速するのは間違いない。

※週刊ポスト2011年8月5日号

関連キーワード

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン