ビジネス

液状化起きなかった湾岸エリア物件 需要回復早いと専門家

 東日本大震災を契機に、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の新築・中古分譲マンション市場には、どのような変化が起きているのか、今年下半期以降の市場はどう動くのか、東京カンテイの市場調査部主任研究員の井出武氏が解説する。
 
 * * *
 今年下半期以降の首都圏のマンション市場は、どう動くのか。今後を占う上でひとつの指標となるのが、今年9月以降に販売を予定している新築マンションの販売動向だ。その価格や売れ行きによって、価格水準や、マンション需要がどの程度回復したのかが、ある程度把握できるだろう。

 阪神大震災の際、兵庫県では、液状化の被害を受けたエリアとそうでないエリアとの間で大きな価格差が生じた。液状化被害を受けたエリアのマンションでは、震災から半年後に価格が急落し、震災前の価格水準に回復するまで3年を要した。

 今回の震災で液状化が起きたエリアは首都圏のごく一部であり、首都圏のマーケットを一変させてしまうほどのインパクトはないと考えられるが、液状化の被害を受けた物件や、地震によってインフラが損傷したエリアに関しては、プライスダウンせざるを得ないだろう。価格はいずれ適正な水準に戻ると考えられるが、回復までにある程度の期間を要することは間違いない。

 一方、同じ湾岸エリアでも、液状化現象がほとんど見られなかったエリアに関しては、「液状化対策がしっかりと施された安全な埋立地」という点をセールスポイントにして、早い時期に計画再開が決定されたり、人気が出たりする可能性もある。

 いずれにせよ、湾岸エリアには、都心部への交通アクセスの利便性や、城南エリアや城西エリアなどのブランド住宅地に比べて価格が割安といった絶対的な優位性がある。消費者が震災後のショック状態から脱し、冷静な目でマンション購入を考えられるようになれば、湾岸エリアの需要も回復していくだろう。

※マネーポスト2011年9月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン