国際情報

韓国芸能人の「奴隷契約」 サインすると暴力団が顔を覗かせる

 日本だけでなくアジアを席巻する「韓流」ブーム。その一方で、「性接待」や「奴隷契約」など、暗部を示す話題に事欠かない韓国芸能界の裏にも暴力団が見え隠れする。ジャーナリスト・李策氏が、隣国の実態をレポートする。

 * * *
 韓流ブームがアジアを席巻し始めた2000年代前半から、今度はエンタテインメント関連銘柄のコスダック上場がブームとなる。その数は、少なくとも30社以上。所属タレントであるペ・ヨンジュンが筆頭株主のキーイースト、映画『猟奇的な彼女』の女優チョン・ジヒョンがかつて所属していたIHQなどが代表格だ。

 とは言っても、取引所の審査を経て上場している企業は、少女時代の所属するSMエンタテインメントなどごく一部に過ぎない。

 ほとんどのエンタメ銘柄は、業績が低迷しているコスダックのボロ会社を芸能プロが買収・改名し、自社の事業を引き継がせる形でいわば「裏口上場」したものだ。

 芸能プロによっては、こうした過程の中で暴力団に“つけ込む余地”を与えてしまう。韓国の芸能プロ関係者が話す。

「アジアの韓流ブームで芸能界のパイが拡大し、小さな事務所でもスターをひとり育てれば一攫千金を実現できるようになった。そのため既存プロダクションのマネジャーたちは、ほんの数年の経験で独立することが珍しくありません。

 とは言え、綿密に事業計画を練るよりは勢いを重視する気風が強いため、そうした零細業者の資金的な裏づけは弱い。そこに、暴力団がスポンサーとして登場して株を握り、上場後に株価が吊り上がったところで売却するのです」

 その際、芸能プロ側は暴力団に対し、ひとつ重要な責任を負うことになる。タレントに対する絶対的な支配である。

 タレントに超長期かつ不公正な契約を強いる韓国の「奴隷契約」問題は、すでに日本でも知られている。最近では所属事務所を飛び出し、訴訟を起こすタレントも散見されるが、これは事務所である芸能プロにとって死活問題だ。稼ぎ頭の人気者を失えば収益が減るだけでなく、株価へのダメージも大きい。

 たとえばある芸能プロの場合、タレントからの提訴を受けて、4400ウォン台だった株価が3分の1も下落。そうかと思うと、他のグループの日本進出が成功した今は4万ウォン台に乗せている。

 稼ぎ頭をいかに支配するかが勝負の分かれ目そんな「現実認識」の下、プロダクションは甘言を弄し、あるいは私生活上の弱みをネタに、タレントや候補生に奴隷契約へのサインを迫るのだ。渋るようなら、「事務所のバック」として暴力団が顔を覗かせ、睨みを利かせることもある。

 今、日本でも人気を博している一部の韓流スターの背後にも、こうした韓国暴力団の影がちらつく。

 典型的なのが、俳優クォン・サンウに対する脅迫事件。有力暴力団の関係者とされるクォンの元マネジャーは、「自分と専属契約を結ばなければスキャンダルを暴露する」と脅した上、「約束を破れば10億ウォンを支払う」という覚書を強制的に書かせたことで2007年に逮捕された。

 最近ではほかにも、日本でもよく知られた歌手兼俳優の個人事務所が、アングラ勢力の仕手戦で食い物にされる出来事があった。結局その事務所は、大手芸能プロが裏口上場する際の踏み台にされたが、アングラ勢力との関係が清算されたかどうかは不透明だ。

 韓国芸能界にはなおも、暴力団スキャンダルの火種がくすぶり続けている。

※SAPIO2011年10月26日号

関連記事

トピックス

新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《安達祐実の新恋人》「半同棲カレ」はNHKの敏腕プロデューサー「ノリに乗ってる茶髪クリエイターの一人」関係者が明かした“出会いのきっかけ”
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
明治、大正、昭和とこの国が大きく様変わりする時代を生きた香淳皇后(写真/共同通信社)
『香淳皇后実録』に見当たらない“皇太子時代の上皇と美智子さまの結婚に反対”に関する記述 「あえて削除したと見えても仕方がない」の指摘、美智子さまに宮内庁が配慮か
週刊ポスト
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト