国内

たばこ増税に反撃のJTに財務省局長が”ネチネチ”2 時間お灸

「(たばこ税を)年100円ずつ引き上げ、(販売価格を)一箱700円にしたい」という小宮山洋子厚労相の不規則発言で、狙い撃ちされた格好のJTは、即座に反撃に打って出た。「政府保有株(JT株)を売却すれば、1.7兆円の税外収入が確保できる」(JTの田中泰行執行役員)と主張し、たばこ税増税よりも政府資産の売却を迫ったのだ。ジャーナリストの須田慎一郎氏が解説する。

* * *
JTの反撃という予想外の場外バトルに慌てに慌てたのが財務省、中でも主計局ラインだった。

「主計局としては、増税に対して世論の理解があるうちに是が非でも所得増税、法人増税を決めることが悲願。そのためにこれまで水も漏らさぬ体制を敷いてきたと言っていい。そうした中、小宮山発言によってそうした増税計画が破綻しかかったのですから、主計局内は大慌てになったのです」(財務省幹部)

こうした状況を受けて、財務省サイドの動きは早かった。真砂靖主計局長が直接事態収捨に乗り出す。

「まずJTサイドを黙らせるために、真砂局長自ら木村宏JT社長に電話をかけ、何と2 時間近くもネチネチやったのです。いくら国が発行済み株式の50%を握っているとはいえ、JTはあくまで民間企業です。主計局長が直接電話をするなんてことはこれまで無かったことです」(財務省主計局幹部)

さらに小宮山大臣を戴く厚労省に対しては、主計局ラインが総出で強烈にプレッシャーをかけ、これ以上の不規則発言を何としてでも封じ込めようと動いたのである。

「財務省サイドのあまりの剣幕に、さすがの小宮山大臣も気圧されていた」(厚労省幹部)

こうした一連の動きから、復興増税を仕掛ける主計局ラインの本気度が窺えると言えよう。

ただでさえ財務省支配が強い野田内閣。その財務省を本気で怒らせては、もはや勝負あったというところだろう。

※SAPIO2011年11月16日号


関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン