国内

ベネトンの世界VIPキス広告 日本の野田首相は相手がいない

イタリアのアパレル大手ベネトンの広告キャンペーン「アンヘイト(憎しみに反対する)」。オバマ米大統領と中国の胡錦濤国家主席、ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領、北朝鮮の金正日総書記と韓国の李明博大統領ほかが「ぶちゅッ!」とキスして話題になっている。では、我が国の野田首相は……? 作家で五感生活研究所の山下柚実氏が考察する。

* * *
こんな写真、ありですか!? と、思わず目を疑った人も多いはず。

オバマ米大統領と中国の胡錦濤国家主席が、「ぶちゅッ!」と肉感的なキスをしているポスター。今、ネットやマスメディアで世界中に発信され、大注目されています。

なんだか、オバマ大統領の表情はうっとりと恍惚に酔っているみたい。余計な説明もコピーもなく、ただ二人の人物の顔が大写しになった画像が、こうも強烈なインパクトを持つとは。

ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領のキス写真もありました。メルケル首相は、イタリアの好色男、元首相・ベルルスコーニ氏ともキス! と、ここまではニヤリとしながら眺めていたのですが。

北朝鮮の金正日総書記と韓国の李明博大統領のキスには、「まさかここまでやるか」と背筋がヒヤリ。イスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナのアッバス議長のキスとなると、広告表現に対するベネトンの「骨太の思想と批評性」を感じさぜるをえません。

イタリアのアパレル大手ベネトンの広告キャンペーン「アンヘイト(憎しみに反対する)」。

単なるなる思いつきや、ちょっと閃いたアイディア程度では、採用できない表現行為。
いわば、「哲学」に裏打ちされているからこそ、世界へむけてこの広告シリーズを発表できたのでしょう。

中には物議を醸して削除されてしまった例も。ローマ法王・ベネディクト16世とイスラム教スンニ派の最高権威・タイーブ総長のキス画像に、バチカンは強烈な抗議をし法的措置を取る考えを明らかにしたため、広告は削除されたとか。

現代社会には、刺激的な映像が溢れ返っています。精巧なCGアニメに、凝った立体画像、飛び出す動画。しかし、そうした複雑な技術を使わずとも、「刺激的な画像はいかようにも創れる」ということを、今回のベネトン広告は浮かび上がらせたのではないでしょうか。

もちろん、デジタル画像の合成技術が進歩したことが背景にあります。しかし、「アンヘイト」シリーズは、あくまで二次元の静止画像。いわば、古典的なポスター形式。そうであっても、多くの投げかけを発信し、世界中の人々に平等と平和への思考を誘うことができるという、新鮮な可能性を感じさせてくれました。

さて、日本の野田首相は……当然といえば当然ですが、誰ともキスしていません。広告に登場しなかったのはどこかの国と深刻な対立関係に無いという証し。その「平和」を喜べばよいのか、それとも、国としての存在感の薄さに、慌てふためき危機感を抱くべきなのか。

少なくとも、私の頭の中で今、はっきりと浮かんだ「構図」は……。大阪市長選で大激突中の橋下徹氏と平松邦夫氏、あるいは、巨人のナベツネ・渡辺恒雄球団会長と清武英利球団代表兼GMのディープキス画像でした。

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン