日本で認可されているPDE5阻害薬といえば、前述した「バイアグラ」だけでなく、2004年発売の「レビトラ」や2007年発売の「シアリス」がある。
「当院では、3種類の薬をすべて試していただき、薬との相性をみることをお勧めしています。また、最近では利便性や持続時間の長さなどを総合的に判断し『シアリス』を処方するケースも多いですね」
シアリスは、バイアグラ、レビトラに比べて、効果継続が36時間と長く、性交のタイミングを気にせずに使用することができる。海外では「ウィークエンド・ピル」とも呼ばれている。
また、シアリスの副次的な効果として、血管の健康全体を促進する働きが注目されている。上掲のグラフのように、シアリスを投与すると抗酸化酵素の値が上昇し、週1回・6か月間服用したら酸化ストレスが3分の1にまで軽減したという研究報告もされている。性交渉の有無にかかわらず、健康維持のためにシアリスを服用するケースが海外で増えている。瀬田院長はいった。
「報告にあるように、シアリスを服用することで酸化ストレスの軽減が期待できたことは、 議論はありますが、今後の研究次第では、本来のPDE5阻害というED治療のみならず、酸化ストレスによって生じる疾病の予防薬としての一面も期待できるかもしれません」
重度のEDで薬が効かない場合もあるが、失望するのはまだ早い。
「ED1000」という、結石治療に使われる体外衝撃波を用いた療法が、臨床研究の段階ながら卓越した効果をあげている。今春から、ED1000よる治験を開始した、帝京大学医学部附属病院泌尿器科の久末伸一医学博士はいう。
「1回20分ほど衝撃波をペニスの5か所に当てる治療を、まず週2回の割合で3週間行ない、休みを3週間挟んでまた週2回ペースで3週間行ないます。衝撃波といってもマイルドですから、ほとんど痛みはなく痕も残りません。劇的に効くので、医師の私が驚いているくらいです」
ED1000は、衝撃波による血管新生の効果に着目したイスラエルの医師によって始められた。
「朝勃ちに代表される睡眠時勃起は、“ペニスの深呼吸”といわれ、真の勃起力を図る格好の目安になります。直径で20~30ミリを超える勃起があれば健康体ですが、ED1000の治療で、10~15ミリだった患者さんの多くが20~25ミリに回復しています。中には、10年ぶりに朝勃ちしたという患者さんもいらっしゃいました」
しかも、帝京大学で治療した患者の大半が50歳以上というから、中高年男性にとっては朗報だ。
「現在のところ有効率は7~8割というところです。また、ED1000とED薬を併用することで、これまで薬で反応しなかった患者さんに効果が出たり、ED薬なしで10年ぶりにセックスできた事例もあります」
瀬田院長はこう締めくくった。
「性欲は人間の根源的なパワーです。パートナーとの関係を深め、生きる喜びを謳歌して“クオリティ・オブ・ライフ”つまり人生の質を高めるためにも、ぜひED療を試してみてください」
イースト駅前クリニック新橋院では、帝京大学医学部附属病院と提携し、ED1000の治験の受付も行なう。今年10月に開院したイースト駅前クリニック新橋院は、東京都港区新橋1-15-7(電話番号:03-6206-1811)。新宿には本院もある。
※週刊ポスト2011年12月9日号