国際情報

中国や韓国に“配慮”をし過ぎると日本が孤立する恐れを指摘

アメリカと中国の間で翻弄され続ける日本外交。中国は執拗に国際社会での日本の孤立を仕掛けようしてくるとジャーナリストの櫻井よしこ氏は警告する。

* * *
中国の胡錦濤政権は、米国主導のTPP(環太平洋経済連携協定)や、海兵隊のオーストラリア駐留など、自らが「孤立」させられつつあることに大きな懸念を抱いています。2012年には習近平体制に移行しますが、彼らの「中国が世界の中心」という中華思想は変わることがありません。彼らは、引き続き覇権主義を強め、我が国に対して様々な工作をし、日本が国際社会で孤立するように仕掛けてくる可能性があります。

その際に、私たちが学ぶべきなのが、歴史の教訓、即ち、開戦直前の状況なのです。

満州国では、日本は日本人・漢人・朝鮮人・満州人・蒙古人の「五族協和」を掲げ、インフラ整備など国づくりに取り組みました。にもかかわらず、国際社会から「満州人の自治は形式だけにすぎない」「事実上の日本の植民地拡大」というレッテルを貼られました。「侵略一色ではない」ことを世界に説明すればいいのに、下手だったわけです。いかに自国の立場や取り組みを国際社会に説明することが重要か、ということです。

日本を孤立させようとする中国の「切り札」は、いつでも歴史問題です。

「従軍慰安婦問題」や「南京大虐殺」は、事実ではなく、非常に歪められた形で伝えられてきました。国際世論は、事実関係を詰めたり歴史的検証をすることなく、イメージ先行で日本への悪印象を持ってしまいます。日本がしっかりした調査によって裏付けされている事実を前面に打ち出して冷静沈着に反論することが非常に重要なのです。中国や韓国に“配慮”してそれをしなければ、この先、日本が世界の中で孤立させられていく可能性は排除できません。

現在の日本には、国家戦略を決定する仕組みやリーダーシップがありませんが、このようなスカスカの国家体制は改めなければなりません。

※SAPIO2011年12月28日号

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン