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米韓が北朝鮮に軍事介入すれば朝鮮戦争が再び起きる危険性も

金正日死去にともない、朝鮮半島の不安定化が懸念されている。アメリカと韓国は、クーデターや大規模亡命など、北朝鮮で「体制を動揺させる急激な変化」が発生した場合に備えた軍事ミッション、「作戦計画5029」を策定している。軍事評論家の潮匡人氏が解説する。

「『作戦計画5029』は金正日の死などを前提条件にしたもので、北朝鮮国内が混乱する事態になった場合に、米韓連合軍がどのように軍事介入を行なうかということが示されている。5029発動の際に、最初に実行されるのが、核の確保。軍の一部に独占させない、そして中国に渡さないことが最優先される」

しかし、アメリカが軍事介入に動こうとしたり、あるいは体制崩壊の可能性が出てきた場合、中国が先んじて軍事介入する可能性もある。軍事ジャーナリストの井上和彦氏がいう。

「中国がとくに懸念しているのは軍部の暴走です。民衆が金正日の死を知り、これまでの不満から暴動を起こせば、軍部は強硬な姿勢をとる。そうして国内が混乱すればアメリカや韓国が介入してくるかもしれない。それを防ぐために、中国は北朝鮮の軍上層部を抑えようとするだろう」

では、具体的に中国はどんな形で介入してくるのか。井上氏が続ける。

「軍事顧問団の名目で連隊を平壌に送り込んでくる可能性があります。軍事顧問団であれば、陸路に鉄路、空路と、どのルートでも気兼ねなく入れますから。仮に中国が軍事介入するとすれば、朝鮮戦争の時に『抗美援朝義勇軍』として100万人の軍隊を朝鮮半島に送り込んだのと同様、義勇兵という手段をとるのではないか」

いわば中国による平壌の“無血占領”だ。米韓を刺激せず、巧妙に北朝鮮上層部をコントロールするのが中国の狙いだが、米韓が一度軍事介入の動きを見せれば、朝鮮戦争と同じ「米韓対義勇軍」の戦いが勃発する危険性も出てくる。

※週刊ポスト2012年1月1・6日号

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