国内

橋下改革反対派の寸劇に「問題行動の多いハシモト君」が登場

橋下徹・大阪市長が率いる大阪維新の会は、11月のW選挙で教育基本条例案の可決・成立を公約の柱に掲げ、圧倒的な差で対立候補に勝利した。同条例案では、校長による教員の人事評価や指導力不足の教員の整理など、公務員の身分保障にメスが入れられるため、現場からは激しい反発が起きている。

「条例が成立したらわれわれは簡単にクビを切られてしまう。条例案の成立は何が何でも阻止しなくてはならない。教職員組合として動く必要がある」(ある府立高校教諭)

その言葉通り、W選挙後も教組サイドは街頭でのビラ配りや勉強会を各地で開き、抗戦の度合いを強めている。昨年12月上旬、大阪市内では大教組(大阪教職員組合)など8団体が主催した1400人を集めた反対集会が開かれた。そこでは現役教師による、こんな寸劇が披露された。

ステージに現われたのはスーツ姿のベテラン教師と、ジャージ姿の若手教師。ベテラン教師は、「条例案が通ったら、大阪の教育が大変なことになってしまうんや!」と大声で叫ぶ。しかし、若手教師はイマイチ興味がなさそうな様子。

そこで初老教師は、「クラス分けを見てみよか」といい、3人の教師によるドラマが始まる。

A:「1組には問題行動を頻繁に起こすハシモト君がいますねェ。それに家庭が不安定で忘れ物が多い、おっちょこちょいのマツイ君も……」(会場は大爆笑)
B:「3組はウメダ君とワタシ君か……。いいわァ。私が3組を持たせてもらいます」
C:「それはズルい。3組は私です」
A:「私が絶対3組! まだ家のローンもあるんです!」

言い争いを始める3人。すると脇にいたベテラン教師が「スト~ップ!」と大声を上げて制止し、若手教師と聴衆に呼びかける。

「こんなふうに、サポートが必要な子が多いクラスの担任は誰もやらなくなってしまうんやで!」

ついに若手教師も、「組合に入りますワ!」と叫ぶ。そして会場には万雷の拍手が巻き起こった――。

条例に反対を訴える本も緊急出版された。『どうなる!大阪の教育』(フォーラム・A刊)の表紙には、「学校にオオカミがやってくる!」の文字が躍る。編著者で元大阪市教育委員長の池田知隆氏が語る。

「条例は教育の支援ではなく、支配です。このままでは優秀な先生ほど大阪を避け、逃げ出してしまうし、実際にそうした評判は広まり始めている」

だが、橋下市長側は意に介さない。12月21日には石原慎太郎・東京都知事と会談した後に、「(石原氏から)“東京でも出してみたい”といわれた」と明かすなど、条例案の理解の広がりに自信を覗かせている。前出の集会に参加していた府立校のベテラン教諭は、焦りを隠せない。

「集会やビラ配りでわれわれの考えを伝えていくのは大事だ。が、それでは不十分かもしれない。相手は独裁者で、しかも選挙の勝利で勢いに乗っている。“強い意思表示”をしないと条例成立の流れは止まらない」

※週刊ポスト2012年1月13・20日号

関連記事

トピックス

大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン