国内

増税派が目指す公平な社会は国民貧乏にする共産主義官僚国家

今年にも予想される総選挙。民主党の後退は間違いないところだが、新たな政党を巻き込んでの政界再編も取りざたされている。しかし、政権が替わったところで官僚の操り人形では国民生活の向上は望めない。野上忠興氏(政治ジャーナリスト)と本誌取材班が「霞が関と戦えない政治家」実態をレポートする。

* * *
今年起きる出来事は、政界再編ではなく、政界「再生」でなければならない。

何も考えない丸投げ政治、国民の声が届かない似非民主主義から、有権者の求める改革を旧体制と戦ってでも成し遂げる政治体制に移行することができるのか。その試金石となるいくつかの課題が見えている。

まず、国民にとって2012年の最大の政治課題となるのは大増税だ。野田政権は「社会保障のため」という口実で消費税率10%への引き上げを打ち出したが、増税分のうち年金など社会保障の充実に使われるのはわずか5分の1(2.7兆円)だ。しかも、破綻状態の年金の抜本改革には手を付けようとせず、支給開始年齢引き上げなど国民の負担増に走っている。

では、増税で得たカネを何に使おうとしているのか。政府の来年度予算案でそれがはっきりした。野田政権は八ッ場(やんば)ダムの建設凍結解除をはじめ、東京外郭環状道路(外環道)の建設再開、北海道、北陸、九州の整備新幹線着工などいずれも「東北復興」とは関係ない巨大公共事業を次々に決めた。それだけで総事業費は4兆円を超える。

政府は「震災復興のカネがない」と約11兆円もの所得税、住民税の「復興増税」を決めたのだから、当然、ヒト、モノ、カネを東北の再生に集中投入するものだと思っていたら、全国各地で公共事業の大盤振る舞いを始めようとしているのだ。

国土交通大臣時代に八ッ場ダムの凍結を決めながら、再検証を役人に丸投げして「抵抗するフリ」だけしてみせた前原誠司・政調会長も「霞が関と戦えない政治家」の典型だろう。

野田政権は消費税大増税だけでは満足せず、「格差是正のために高所得者の負担をもっと重くすべき」と、所得税の最高税率引き上げ(40%→45%)の方針を打ち出した。

取れるところからは全部取るといういかにも官僚主導の発想である。霞が関に操られた増税派政治家が目指す「公平な社会」とは、国の活力をなくし、国民全体を貧しくする共産主義官僚制国家にほかならない。

※週刊ポスト2012年1月13・20日号

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン