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山手線地下鉄化で線路の上に40万人住宅が誕生と大前研一氏

山手線に新駅を建設する計画が動き出した。新駅が計画されているのは品川駅から北側約1キロにある車両基地「田町車両センター」跡地だ。だが、大前研一氏は、東京の再生には、さらなる第2フェーズ、第3フェーズの開発が必要だという。以下は、大前氏の解説だ。

* * *
品川駅・田町駅周辺地域は品川―田町駅間だけに留まらず、第2フェーズとして品川駅の西口・東口も含めた再開発を行なうべきだと思う。

JR東日本が西武鉄道を買収し、西武が西口の駅前に保有しているホテルなどの土地と、JR東日本が再開発した東口、さらに今回の田町車両センター跡地をすべて一体化して再開発すれば、構想が一段と巨大化する。

具体的な青写真としては、エリア全体をSF映画『インデペンデンス・デイ』のように覆って鉄道をすべて“地下鉄化”する。といっても地下に埋設するのではなく、現在の鉄道が走っているところの上に人工地盤の新たな“更地”を造り、西口と東口をつないで田町まで広がるコミュニティを建設する。

道路も含めて街を根本的に造り直し、住宅、オフィス、ショッピングモール、レストランやカフェ、ホテル、教会広場などがあり、人々が集って交流できる「24時間タウン」を誕生させるのだ。

いま東京は事務所スペースが余っているので、この地域に高層オフィスビルだけを建てても、絶対に埋まらない。だが、住宅なら需要は無限にある。あれだけ巨大なキャパシティに住宅を造ったら価格は大幅に安くなるし、「定期借地権マンション」にすれば、おそらく現在の都心のマンション相場の半値ぐらいになると思う。

職住接近で徒歩通勤が可能となり、東海道新幹線が停車して羽田空港にも近いとなれば、世界中から人も企業も集まってくるだろう。

さらに第3フェーズは、それを上野まで延長する。つまりJR東日本の「空中権」を利用して品川―上野間の鉄道線路の上をすべて高層住宅にしてしまうのだ。そうすれば、まず品川・田町のクラスターと汐留・浜松町のクラスターが連携する。

新橋―有楽町間は、線路の両側も含めて再開発し、汐留とも連結することで超一等地になる。その先の秋葉原にはゲームやアニメ、IT関連のクリエーターが集積し、さらに上野までのエリアは品川・田町や汐留、丸の内などに通勤するための上質な住宅街に変貌する。

これが実現すると、おそらくそこだけで40万人が住めるようになって、住民は通勤時間15分以内の快適な職住接近環境を手に入れ、山手線は24時間動くようになっているだろう。

※週刊ポスト2012年2月17日号

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