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2012.02.13 16:02  週刊ポスト

「性教育増進で興味がわき、性環境が悪化」と保護者クレーム

 日本の政治は「進歩」と「保守」が入り乱れ、その度に性教育が左右に揺れてきた。果たして日本の性教育はこの国の実情をきちんと反映し、子供たちに必要な教育を施してきたのか。現状をレポートする。

 ある日の中学校の保健体育の授業。性感染症の種類や、その恐ろしさが教えられていた。例えばエイズ。その予防法は「コンドームを使うこと」が大切だと先生がいう。しかし、実は今の日本では、いつ、どのようにコンドームを使えばいいか──つまり性交そのものに関わる直接的なことは教えることができないのだ。

 その理由は、1999年に改訂された中学の学習指導要領に、性教育において「妊娠の経過は取り扱わない」と明記されたことにある。「妊娠の経過」には「性交」が含まれるので、日本の性教育では性交については教えていない。つまり、性交を教えずにコンドームを使うことを教えるという、ねじれが生じているのである。

「性器の名前や、セックスについて教える必要はまったくない」

「性教育を増進することによって、かえって性への興味がわき、子供の性環境が悪化する」

 このような、保護者からの批判によって、実際には性教育が全く行なわれていない学校もあるほどだ。

 埼玉県にある中学校の保健室の先生をする女性養護教諭は次のように話す。

「2003年頃の性教育バッシングの影響で自粛ムードが広がっています。いまはもう恐る恐る授業をしている感じで、性器の名称など、“この言葉を教えて良いのか”と躊躇することも多いです」

 日本の性教育は、たびたび「雨降り教育」と揶揄される。性教育が行なわれる「保健」の授業はほとんどが保健体育科の教師が行なっており、雨が降ったときにのみ、やむを得ず保健の授業を行なうという学校が少なくないからだ。

 小学校では、通常4年生のときに「初経、精通」や「異性への関心が芽生えること」を教えている。中学になると、保健体育の時間や特別活動(いわゆる学級活動)で、性感染症の予防に関することなどを扱っているが、その時間は極めて少ない。

※週刊ポスト2012年2月24日号

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