国内

不起立のジャンヌ・ダルク教諭 「君が代反対」トレーナー着用

 大阪では、橋下徹市長が「君が代不起立」の厳罰化を目指していることに一部教職員が猛然と反旗を翻している。反対する教師の意図とは何か。ジャーナリストの鵜飼克郎氏が現場をレポートする。

 * * *
 本誌も詳報したが、大阪府門真市立第三中学校の卒業式で君が代のメロディが流れた時、出席していた11名の教員のうち生徒のそばに並んでいた8名の教員ばかりか(他3名は卒業証書を手渡す役と会場外の警備役)、なんと、卒業生160名のうち1名を除いて全員が着席してしまったのだ。

「生徒たちは式直前のホームルームで、担任から『先生は起立しない。みんながどうするかは自分自身で考えて決めなさい』と言われたようです」(門真市教育委員会関係者)

 この「事件」が新聞報道されると、学校に抗議電話が殺到した。結局、翌2009年2月、8人の教員は門真市教育委員会から文書訓告や口頭厳重注意の処分を受けた。これに続き、2009年度に4人、2010年度に1人、2011年度に2人の戒告処分者が出た。しかし、「不起立者の数ははるかに多い」と、前出の元府立高校校長は話す。

「毎年30~80人の不起立者がいるのが実情です。しかし、処分者を出せば職場の人間関係がギクシャクしてしまうので、大半は校長からの厳重注意にとどめてきた。また、不起立派の教員は式典の時に会場外の警備にあたらせるなど、問題が起こらないように工夫している学校もあります」

 橋下氏は現場のこうした馴れ合いを批判し、維新の会が国歌起立条例案を府議会に提出した頃、次のように発言していた。「起立しない教員は意地でもやめさせる」「起立しないなら府民への挑戦」「公立の教員は公務員組織の一員。職務命令に従うのは当たり前」「バカ教員の思想良心の自由よりも、子どもたちへの祝福が重要」……。

 橋下氏がこれだけ強い言葉で非難する背景には、大阪に限らず、一般国民の常識からかけ離れた行動を取る教職員が少なからずいるからだ。例えば、東京には「不起立のジャンヌ・ダルク」と呼ばれる女性教諭がいる。彼女は「不起立」で繰り返し処分を受けても“筋”を曲げず、普段から学校で「OBJECTION HINOMARU KIMIGAYO」とプリントされたトレーナーを着るなどしてきた。また、式典で日の丸を舞台袖のカーテンの裏に置き、参列者から見えないようにする教師なども、これまで度々問題視されてきた。

※SAPIO2012年2月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト