ライフ

プロスキーヤー三浦敬三さんほか100歳選手 血管は100歳相応

 白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によると、100歳を超えるアスリートたちの血管には、意外な秘密が隠されているという。以下、白澤氏の解説だ。

 * * *
 100歳になっても元気に活動を続け、スポーツを楽しむことができる人がいる。プロスキーヤーの三浦敬三さんは100歳になった年にも、立山連峰や八甲田で山スキーを楽しんでいた。
 
 日本舞踊の師範、板橋光さんは102歳で日本舞踊を踊り続け、沢山の生徒さんに踊りを教えていた。百寿者の8割以上が寝たきりの中で、元気にスポーツを続けられる人の秘訣は何なのか。

 人は血管から老いるといわれている。そこで、三浦敬三さんや板橋光さんの血管の老化度を測定し、元気な百寿者の血管のアンチエイジング度を評価した。二人の四肢の脈派を測定して血管の老化度を計算すると、意外にも二人の血管は100歳相応に老化していることが判明した。
 
 その一方で、興味深いことに三浦敬三さんと板橋光さんの血液中のアディポネクチン(食欲を促進させるホルモン)を測定すると、若いアスリートと同じくらい沢山のアディポネクチンを血液中に分泌していたのである。

 大阪大学医学部の熊田全裕博士らはアディポネクチンが血管の細胞に働くと、TIMP-1という遺伝子が活性化されて、血管の壁が崩れにくくなることを発見した。動脈硬化を起こすと、血管の壁が崩れ、コレステロールなどの粥状物が器官の内部に漏れ出る。
 
 そして、血栓を生じ心筋梗塞や脳卒中を引き起こす。しかし、壁が最後まで崩れなければ心臓機能や脳機能は保てる。

 三浦敬三さんや板橋光さんが、血管が老化しながら100歳を超えても元気にスポーツや趣味を続けられたのは、体を動かし続けることにより、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンが血管の壁を強くしていたためと考えられた。
 
 毎日、運動やトレーニングを続けて脂肪細胞を鍛えていれば、いつまでも人生を楽しむことができるようだ。

※週刊ポスト2012年2月24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン