国際情報

性教育先進国オランダ 小学生が暗闇の中で避妊具着ける実習

 オランダは、公娼制度を設けたり、一部地域で麻薬合法化を実施するなど、社会制度のあり方において、先進的な取り組みを続けている国だ。性教育についても他の国とは大きく異なる方法が試され、実践されている。性教育のあり方を考えるひとつの軸として、オランダの事例をレポートしよう。

 * * *
 その日、小学校の最上級生に当たる11歳から12歳の生徒たちは、学校を離れ、「ネイチャーハウス」という施設に出かけた。これまで学んできた性教育の“技術的な面”を完結するための、特別授業を受けるためだ。

 あるグループは小さな箱の左右に空いた穴の中に両手を入れている。箱の中心にはペニスを模した肌色の突起物があり、中が見えない状態でコンドームを上手につける練習をしている。これは暗闇の中でもコンドームを的確につけられるようにするための練習だという。

 また別のグループは、男女の人形を使ってバーチャルセックスの実習をしている。男性の人形にはペニスが、女性の人形には膣がついていて、しっかりと挿入できるようになっている。

 これまでの教育の成果なのだろう、子供たちは恥ずかしがったり、ふざけたりすることなく、真剣な表情で課題に取り組んでいた──。

 これは本誌記者が訪れた、オランダ中部ヘルダーラント州のアペルドールンという人口約16万人の都市にある、デ・ザーイア公立小学校で実際に行なわれている性教育の一部である。

 オランダの小学校には4歳から12歳までの子供が通う。現地在住の教育評論家・リヒテルズ直子氏によれば、性教育は最下級生の4歳頃から始められる場合が多いという。

「最初は家族の関係とか、自分がどんな風に生まれてきたのかから始まります。そして、例えばぬいぐるみを抱きしめてみるとどんな感覚なのか、人とハグをしてみるとどんな感覚なのかを授業で話し合い、性的欲求が高まった時のホルモンの働きなどについても合わせて教えます。

 オランダの性教育には決められた指導書や教科書などは特になく、学校や先生が自由に選んでいいことになっていますが、最近は異文化間での男女交際についてのドキュメンタリーなどをDVDなどで見せることが多いようですね」(リヒテルズ氏)

 具体的なセックスの方法や避妊、自慰行為について学ぶほか、デートの仕方や生涯のパートナーの選び方、そして離婚まで、小学生のうちにみっちり勉強。さらには、自分が異性愛者なのか同性愛者なのかを自覚することや、ED(勃起不全)や包茎、月経不順などの性にまつわる問題、望まないセックスを避けるためのコミュニケーションの方法、性暴力の被害者になってしまった場合への備えなども学ぶという。

※週刊ポスト2012年2月24日号

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン