国際情報

中国の美術品ブーム 日本で見つけたニセモノをTV番組で破壊

 北京テレビが放送する鑑定番組は、日本の「なんでも鑑定団」のような番組だが、その激しさは異質だ。鑑定した物がニセモノなら、その場で破壊してしまう。そして日本で約2000万円出して買ったという壺が、青ざめる持ち主の前で叩き壊される。美術品ブームに沸く中国で、いま何が起きているのか。ジャーナリストの富坂聰氏が解説する。

 * * *
 中国ではここ数年、美術品のコレクションが話題である。中国のオークション市場はいまや7000億円ともいわれ、日本の約70倍に達するともいわれている。

 美術品収集ブームを押し上げているのは富裕層を中心とした投資意欲で、金の高騰に続く美術品の価格高騰を招いている。

 このオークションブームには裕福になった事業家が愛国心を燃やして海外に流出した書や画を買い戻すという行動も目立って見られたのだが、そのターゲットになったのが日本なのである。

 ほとんどが80年代から90年代にかけて日本人観光客がまとめ買いしていったもので、持ち主の多くは本当の価値を理解しないままお蔵入りしているケースがほとんど。その書や画に買った時の100倍という意外な高値がつくことも珍しくないのだ。

 だが、こうした中国の美術品コレクターの本当の狙いはここではない。実は日本には歴史的にも中国で国宝級の古美術品が大量に眠っていると考えられているからだ。

 貴重な美術品が戦乱や王朝の交替のたびに破壊されてきた中国に比べ、保存の良い状態で受け継がれてきたという事情に加え、義和団事件後に軍の派遣をして以降から日中戦争の期間に持ち去られたお宝が日本にはたくさん眠っているとされているからだ。

 この事実は概ね中国側も認めているが、問題はこの日本市場にもニセモノがあふれていることだという。事実、日本で見つかる中国の国宝級の美術品も約70%はニセモノだと考えられているのだ。

 昨年には実際に日本から買って帰った古美術品がニセモノと発覚する事件も起きた。しかもテレビ番組のなかでのことだ。

 北京テレビが放送する鑑定番組は、日本の「なんでも鑑定団」のような番組だが、その激しさは異質だ。鑑定に出した物がニセモノと判定されれば、その場で破壊されてしまうからだ。そして問題の骨董品は日本から約2000万円で買ったという。結果は見事に「ニセモノ」。壺は、青ざめる持ち主の前で叩き壊されてしまうというオチだった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン