ライフ

防犯学校学長「監視カメラの犯罪抑止効果?そんなもなない」

 犯罪予防の観点から、街中の監視カメラがどんどん増えている。だが、それでも犯罪は起き、逃亡犯は逃げ続ける…。最新の監視カメラ事情を知るため、作家の山藤章一郎氏はJR品川駅に降り立った。

 * * *
 駅の監視カメラでとらえた画像は、警察にどう届き、どう解析されるのか。たとえば、品川駅の1日の乗降客はほぼ30万人。30万分の1をどう識別するのか。

「カメラの設置台数を含め、一切、お答えできません」

〈JR東日本〉広報の答えを受け、〈日本防犯学校〉梅本正行学長に品川駅探索を同道ねがった。オウム逃亡犯・平田信が大阪から着いたのと同刻・夜8時30分に、品川駅21番22番の新幹線ホームに立つ。

 1号車から16号車の停車位置まで歩く。列車の運行、乗客の安全確認、不審者移動チェック、それらのカメラが、ホームの端に4台あった。このカメラに、犯罪抑止の効果があるのか。梅本氏。

「そんなもな、ない。コンビニにあんなにカメラがついてるのに、万引き、強盗は絶えない。置き引き、酔っ払いの介抱強盗、喧嘩などのホームの犯罪も減ってない。ここのカメラは抑止のためではなくて、異常を察知するためのものだ。あっ、あそこにもある。ホームの内側に向いてるだろ。ありゃ完全に犯罪監視用だ」

 ここまでで、見逃しはあるだろうが28台確認できた。ホームから、改札階へのエスカレーターに乗る。昇っていく真正面からも、両脇からもレンズが正確に顔を狙っている。すべての人間が、ここで記録されている。

 昇ると、在来線への乗り継ぎ改札になる。15台の改札スルーがある。天井にずらりとカメラが据えつけてある。かぞえてみた。改札機と同じ数があった。15台。梅本氏。

「俺も驚いた。こんなに監視カメラがあるんだ。何時ごろ、品川駅の改札を通りましたという平田の証言で、画像を捜したんだろうけど、あのカメラは、だいたい1秒に4~5枚撮る。10秒で40枚、1時間でその360倍。これを目で捜す。死に物狂いだな」

※週刊ポスト2012年3月2日号

関連キーワード

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン