ライフ

年間3万人が死ぬ肝がん 遺伝子により発症リスクに2倍の差

 C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染により起こる肝臓の病気で、感染すると約70%が持続感染者となる。日本国内には約150万人(2011年)のC型肝炎ウイルス保持感染者がいると推計されており、慢性肝炎、肝硬変、肝がんに進行する可能性がある。

 肝がんによる死亡者数は、年間3万人以上に上り、慢性肝炎から肝がんになるリスクが高いのは一般的に、女性より男性、飲酒習慣のある人、若い人より高齢者、肥満傾向の人、肝線維化が進んでいる人といわれる。

 2001年から、広島大学と独立行政法人理化学研究所が共同でC型慢性肝炎患者を対象に遺伝子解析からアプローチする研究が行なわれ、2011年に結果が発表された。広島大学大学院医歯薬学総合研究科の茶山一彰教授に話を聞いた。

「C型慢性肝炎患者で肝がんを発症した212人と、発症しなかった765人の2グループで遺伝子を解析しました。約30億対の遺伝子の中で個別の体質に関係するSNP(遺伝子のゲノム塩基に見られる変異)を調べた結果、DEPDC5遺伝子多型が肝がん発症に係わっていることを発見しました」

 ヒトの遺伝子の塩基配列(A・T・C・Gの並び)は99.9%同じだが、個人個人の塩基配列を比較すると、ところどころ違っている。例えばお酒を分解する能力がある人とない人のような、いわゆる体質の違いはSNPという個人のわずかな塩基配列の違いから起こる。

  そこで肝がんを発症した710人と発症しなかった1625人の合計2355人のC型慢性肝炎のグループについても調べたところ、1回目と同様にDEPDC5遺伝多型が肝がん発症に強く関係していることがわかった。この遺伝子を持っていると発症リスクが約2倍になる。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2012年3月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン