国内

復興事業 地域に尽くした地元業者でなく大手ゼネコンが落札

 ベストセラー『がんばらない』著者で、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、東日本大震災の被災地支援のため、たびたび現地入りしている。その鎌田氏は、始まった復興事業の先頭を、地元の業者ではなく大手ゼネコンが走ることに疑問を感じるという。以下は、鎌田氏の報告だ。

 * * *
 日本を悪くしていたのは、土建屋さんと建設関係者だと、ずっと思い込んできた。

 1998年当時、公共投資・公共事業費は約15兆円あった。建設関係者は、自分たちの意のままになる政治家を作り出し、政治家も官僚も自分たちが潤うことばかりを考えてこの15兆円に群がっていたのだ。

 福祉や医療や年金にお金を回さないから、日本はいつまでたっても住みやすくならないと、僕は批判ばかりしてきた。

 いまや、公共事業関係費は約6兆円。当時の半分以下である。その影響で潰れた会社もあるし、建設関係の企業のリストラはどんどん広がっていた。そんな中、3.11の大震災が起こった。

 被災地に入って、僕がまざまざと見せつけられたのは、地元建設関係者たちの仕事のパワフルさである。行く先々で様子を聞くにつけ、かつて抱いていた関係者への見方を反省し、変えた。

 自衛隊や警察、消防隊が震災のときに大いに貢献した。アメリカ軍は“トモダチ作戦”で、仙台空港のがれき撤去を一気に行なって、空港再開港までこぎつけたといわれた。

 しかし、自衛隊や警察が入る前に、まず動いたのは地元の建設業者だったのだ。彼らが命がけで道を開いて、先鞭をつけていったのである。

 しかし、始まった復興事業の先頭を走ったのは、地元の業者ではなく、大手ゼネコンである。宮城県・石巻地域のがれき処理作業は、鹿島建設を中心にしたジョイントベンチャー(JV)が落札した。

 経済ジャーナリストの荻原博子さんとお会いしたとき、彼女は怒っていた。

「多くの事業を大手ゼネコンに持っていかれている。地元は多くの苦労を背負わされているだけ。これでは地元の経済が良くはならない」

 3.11以後、地域のためにと、地域に尽くしてきた地元の業者は、泣いているという。

※週刊ポスト2012年3月16日号

関連記事

トピックス

「講書始の儀」に初出席された悠仁さま(時事通信フォト)
《講書始の儀》悠仁さまが“綺麗な45度の一礼” 「紀子さまの憂慮もあって細かな準備があった」と皇室記者、新年祝賀の儀での秋篠宮さまの所作へのネット投稿も影響か
週刊ポスト
デビットベッカムと妻・ヴィクトリア(時事通信フォト)
〈ベッカム家が抱える“嫁姑問題”の現在〉長男の妻・ニコラがインスタから“ベッカム夫妻”の写真を全削除!「連絡は弁護士を通して」通達も
NEWSポストセブン
ニューヨーク市警に所属する新米女性警官が、会員制ポルノサイトにて、過激なランジェリーを身にまとった姿を投稿していたことが発覚した(Facebookより)
〈尻の割れ目に赤いTバックが…〉新米NY女性警官、“過激SNS”発覚の中身は?「完全に一線を超えている」
NEWSポストセブン
厳しい選挙が予想される現職大臣も(石原宏高・環境相/時事通信フォト)
《総選挙シミュレーション》公明票の動向がカギを握る首都決戦 現職大臣2人に落選危機、高市支持派アピールの丸川珠代氏は「夫とアベック復活」狙う
週刊ポスト
「ゼロ日」で59歳の男性と再婚したと報じられた坂口杏里さんだが…
《3年ぶり2度目のスピード離婚》坂口杏里さんの「ふっくら近影」に心配の声…「膝が痛くて…でもメンタルは安定してます」本人が明かした「59歳会社員との破局の背景」
NEWSポストセブン
笑いだけでなく「ふーん」「ええ!」「あー」といった声が人為的に追加される(イメージ)
《視聴者からクレームも》テレビ番組で多用される「声入れ」 若手スタッフに広がる危機感「時代遅れ」「視聴者をだましている感じがする」
NEWSポストセブン
新春恒例の「歌会始の儀」に出席された愛子さま(2026年1月14日、写真/時事通信フォト)
《ラオスご訪問を歌に》愛子さま、テーマ「明」に相応しいピンクのドレスで雅子さまとリンクコーデ 色やパールでフェミニンさとフォーマル感を演出
NEWSポストセブン
北海道日高町で店の壁の内側から遺体が見つかった事件。逮捕された松倉俊彦容疑者(49)、被害者の工藤日菜野さん。(左・店舗のSNSより、右・知人提供)
「なんか臭くない?」「生ゴミを捨ててないからだよ」死体遺棄のバーで“明らかな異変”…松倉俊彦容疑者が見せた“不可解な動き”とは【日高・女性看護師死体遺棄】
NEWSポストセブン
カンボジア内務省は1月7日、米当局が“アジア最大の犯罪組織のひとつ”とする企業「プリンス・グループ」のチェン・ジー会長を逮捕したと発表した(時事通信=AFP)
「問題がある者を叩け。ただし殺すな」拷問に人身売買、ロマンス詐欺も… “アジア最大の在カンボジア犯罪組織”トップの中国人が「都内15億超えの高級マンション」に拠点
NEWSポストセブン
元旦に結婚を発表した長澤まさみ
《長澤まさみが過去のSNS全削除と長期休養への背景》長澤まさみ、主演映画の撮影を1年延ばして選んだ電撃婚 『SHOGUN』監督夫と“帯同同伴カナダ計画”
NEWSポストセブン
北海道日高町で店の壁の内側から20代の工藤日菜野さんの遺体が見つかり、松倉俊彦容疑者(49)が逮捕された(左・知人提供)
《日高・バーの壁に死体遺棄》「誰が見ても親密そうだった」「2人してよく酒を遅くまで飲んでいた」松倉俊彦容疑者(49)と“21歳年下”被害女性の関係とは
NEWSポストセブン
大分市立中学校の校内で生徒が暴行を受けている動画が、SNS上で拡散された(Xより)
《いじめ動画の保護者説明会“録音データ”を入手》「『先生に言ったら倍返しになるから言わないで』と…」子供の不安を涙ながらに訴える保護者の悲痛な声【大分市】
NEWSポストセブン