国内

AIJ巨額損出事件 裏で絵を描く“黒幕”存在説が相次いで出る

 約2000億円にのぼる年金資金が溶けたとされる、AIJ投資顧問を舞台とした巨額損失疑惑が、いよいよ大型経済事件化必至の情勢となってきた。注目が集まっているのは、2000億円の行方だ。その背後に何があるのか。ジャーナリストの須田慎一郎氏が解説する。

 * * *
 事件の真相を解明していく上で、キーパーソンと目されているのが、新聞などで名前が挙がっている2人の野村証券OB、AIJ社長の浅川和彦氏と同社役員の松木新平氏だ。

 だが、すでに業界内ではある疑問の声が上がっている。

「2人は営業畑一筋の言ってみれば“営業バカ”。カネ集めは上手だが、タックスヘイブンにファンドを開設して……などというスキームを組み立てられるようなタマじゃない」

 こう断言するのは2人をよく知る野村証券OBだ。このOBはより重大な鍵を握る人物の存在を指摘する。

「この件は、間違いなく裏で絵を描いている連中がいると思っていい」

“黒幕説”を唱えるのは彼だけではない。筆者は他の業界関係者からも同様の指摘を多数聞いている。

 そもそもAIJの前身は、米系運用会社の日本拠点だったが、2002年に浅川氏が買収、2004年に社名を変更して今に至っている。その運用手法は極めてシンプルで、「日経225オプション」の「売り」を軸としたもの。所謂デリバティブ取引だ。しかし、ある証券会社役員はこう証言する。

「デリバティブ取引であることには間違いないが、これは最も単純なタイプで、集めた金を全額そこに突っ込んでいたとは考えにくい。普通に取引していれば、2000億円もの損失に至るような投資ではない」

 すでに、元手資金の300倍のデリバティブ取引に手を出していたという話も出ている。こうした状況が、証券業界内で広まる“黒幕説”の根拠となっている。

「仮に“黒幕”がAIJとまったく正反対のポジションを取っていれば、そこは確実に利益を出すことができるわけだ……」(前出同)

 捜査次第で、この巨額損失事件は、巨額詐欺事件の色彩を帯びる。2000億円の行方の解明が待たれる。

※SAPIO2012年4月4日号

関連キーワード

トピックス

ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン