ビジネス

経済の千里眼氏 日経平均9700円が「買い」のチャンスと分析

「経済の千里眼」の異名を持つ経済評論家の菅下清廣氏の予言通り、日本株は眠りから覚めたように急騰し始めた。緊急出版された近著『相場の波動はシンプルに読め!』(小学館刊)がベストセラーになっている菅下氏に、同書で明かした「相場の波動に乗る投資法」を活かした投資術を聞いた。

 * * *
 私が著書や『週刊ポスト』で予言した通り、日経平均株価は大震災後の高値に迫る急騰を遂げています。

 きっかけとなったのは2月14日の日銀政策決定会合で、これまで頑なに金融緩和を拒んできた日銀が、内外の圧力を受けて緩和策を打ち出したことです。

 ここまでは先週の週刊ポストのインタビューでもお話しした通りで、案の定、3月19日にはまた直近の高値を更新しました。しかし、投資家にとって重要なことは、過去の予測が当たったかを振り返ることではなく、未来の相場を的確に予測し、利益を得ることです。この上昇相場はいつまで続くのか、いくらまで上がるのか。スガシタ流で予測してみます。

 3月中旬の株相場は、震災後高値である昨年7月8日の1万207円にトライしつつ、その直前で少し足踏みしている状態です。相場の言葉で、このような状態を「高値ツラ合わせ」と呼び、株価が膠着する「もみ合い」になりやすい状態です。今後の展開には3つの可能性があります。

 第1は最も強気なシナリオで、3月中に震災後高値を突破し、昨年の最高値である1万891円(2月17日)を目指す流れ。

 第2は、しばらく1万円台前半でもみ合いが続くシナリオです。この場合のチャートは小動きで、ダラダラと横向きが続きます。

 第3はやや弱気のシナリオで、いったん株価は調整(値下がり)に入り、1万円を割り込むケース。ただし、このケースでも今のブル・マーケット(強気相場)ならば、必ず押し目買い(値下がりした時点で買い注文を出すこと)が入ります。

 今回の相場は2月14日に動き始めました。8900円台から1万200円近くまで上げましたから、上げ幅は約1300円です。近著にも書きましたが、強気相場の調整は「3分の1押し」の可能性が高い。上げ幅の3分の1くらい下げると、機関投資家が大規模な押し目買いを入れ、そこからまた上昇する動きです。ズバリ、このやや弱気シナリオだとしても、9700円台に入れば、再び買いのチャンスと予測します。

 最も安全策を採るとしても、「半値押し」の9500円が直近の底値になるでしょう。これから投資する人は、そのあたりまで株価が下がったら買い時です。

 また、相場が下降から上昇に転じる際には、1日の始値と終値の差が小さい「短いローソク足(極線)」や「十字足(寄引同値線)」が出現するなど、チャートを見て判断することもできます。これは近著に詳しいので、ご興味のある方はご覧ください。

※週刊ポスト2012年4月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン