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有期雇用契約の更新終了は解雇とは別物 基本的に文句言えず

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「雇用契約の更新を断わられたのですが、しかたないのでしょうか」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 3年前からスーパーに勤めてきました。毎年3月に1年間の契約を更新しながら勤めています。ところが、3年目の契約が終わる時期になって、上司から「次回の契約は結ばないから、来月からは来なくてもいい」といわれました。このような解雇はどうしようもありませんか。

【回答】
 これは正確には期間満了後の再契約(更新)をしない「雇い止め」といわれているもので、解雇ではありません。民法の原則では、期間が来れば契約は終了し、そこで雇用関係はなくなります。

 しかし、裁判所は有期雇用契約でもいくつかのパターンで労働者を保護しています。例えば、使用者が更新手続きをしないまま、自動更新的に雇用を継続した場合には、期間の定めのない契約に転化するといわれています。

 また期間満了の都度更新手続きをしていても、次回も更新されると期待を持たせるような状況にあった場合には、その期待に反した雇い止めに合理的な理由がないと、効力が否定され、雇用関係の継続があり得ることになります。

 ポイントになるのは、使用者が有期契約にした理由です。その理由に従った雇い止めは、本来の期間設定の目的のためですから労働者も文句はいえません。通常、有期契約にする目的は、景気変動の調整弁とすることです。景気が悪くなり、有期労働者の人件費を節約する必要が出た場合には、雇い止めは有効でしょう。しかしその場合、同条件の有期労働者は揃って雇い止めになるはずです。それがあなただけだとすれば、本来の目的以外での雇い止めでないか疑問です。

 雇い止めについて労働基準法14条2項に基づき、厚生労働大臣が定めた基準があり、30日前までの予告のほか、雇い止めの理由について文書により明示することを使用者に求めています。そこで理由を確認し、納得できなければ労働基準監督署や都道府県の労働局に相談してください。しかし、例えば学校の非常勤講師のように年を区切って契約するのが当然であるような雇用形態は、必然的に有期になるので、更新に対する合理的期待は認め難いとされています。

※週刊ポスト2012年4月6日号

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