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「方向音痴・方向感覚」という言葉は学術用語ではないと識者

 フジテレビ系のバラエティー番組『ホンマでっか!?TV』でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が、「方向音痴」について説明する。自分のいる場所を見失って道に迷ってしまう人は多いが、脳科学的にはどのようなことがいえるのか。以下は澤口氏の解説だ。

 * * *
 どうやら世の中には「方向音痴」のかたが多いようです。そこで今週は、「方向音痴」についてお話ししましょう。

 実は、「方向音痴」や「方向感覚」という言葉は学術用語ではありません。私たち科学者は「ナビゲーション」や「定位」という用語を使います。ある目的地に向かって移動することが「ナビゲーション」で、移動方向や自分のいる位置を定めることが「定位」です。一般にいう“方向音痴”とはナビゲーション能力や定位能力が劣ることで、“方向感覚”とはうまく定位する能力を指しています。

 野生の動物は、餌の場所を探し、巣に戻らなくてはならないため、ナビゲーション能力を発達させてきました。その方法はさまざまで、アリが巣に戻るときは、においに頼ります。ミツバチが巣に戻る際には太陽の位置を使っています。さらに、ランドマーク(地上の動かない各種目印)も使って目的地に移動しています。

 私たち人間も、定住地(巣)を持ち、かつ、広い遊動域(縄張り)を持つため、ナビゲーション能力を発達させてきました。

 人類の進化にとって必要な食べ物は果実や木の実、肉(獲物)で、人間は「ギャザラー(採集者)・ハンター(狩猟者)」の典型です。広い遊動域で実を採集し、狩猟に行き、獲物を住居に持ち帰ったりして暮らしてきました。

 そのため、私たちは目的地に向かう際、ランドマーク方式と空間記憶方式という主にふたつのナビゲーション方法を使用しています。ランドマーク方式とは、各種のランドマーク(目印)を使います。空間記憶方式とは頭の中で空間的地図を作り、それを参照してナビゲーションする方式です。

 女性は主にランドマーク方式を使い、男性は主に空間記憶方式を使います。その理由は、女性はギャザラーで、住居の周囲に見知ったランドマークが豊富にあったためです。男性はハンターで、獲物を遠くにまで探しに行き、いま自分がどの位置にいるのか「頭の中の地図」で定位する必要があったからです。

※女性セブン2012年4月12日号

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