ライフ

親の介護をしていたら遺産を多く相続できるのかを弁護士解説

 いつ訪れるかわからない、親の死…。そして、実際にそうなったときに、家族の中で問題となりかねないのが遺産相続だ。ここでこんなケースがある。

「兄(45才)と妹(39才)の兄妹です。母は他界、2年前に寝たきりになった父の介護を私がしています。兄は気楽な独身暮らしで、父の面倒は一切みてくれません。父の財産は介護をしている私が多く相続すべきだと思うのですが?」

 この相談に、キーストーン法律事務所・弁護士の黒澤計男さんが回答する。

 * * *
 法定相続人が兄妹2人だけの場合、財産は兄・妹とも2分の1ずつ。しかし、介護をしているあなたが多く相続すべきと感じるのであれば、お父さんが元気なうちに、遺言書を書いてもらうのがいちばんいい方法でしょう。

 ただ、このときお父さんの意向をお兄さんに伝え、同意を得ておくことが大切です。勝手に遺言書を書いたとお兄さんがへそを曲げれば、お父さんの死後、遺留分減殺請求(理不尽と感じる遺言書に対して“遺留分を侵害”されたとして行う請求)されるなどトラブルに発展することも考えられます。

 遺言書を書いてもらうのが難しい場合、法定相続分を基準に各自の相続分を協議します。分割割合の話し合いであなたが多く相続することをお兄さんが認めてくれればそこで解決。

 認めてくれない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、寄与分(特定の相続人が被相続人の財産の維持・増加に対して貢献したと主張できる“分け前”。その分け前を、分割する遺産から外し、貢献した相続人に還元する)を主張できます。家庭裁判所が寄与分を認めてくれれば相続分を増やせます。

 調停でまとまらない場合は遺産分割審判に解決の場が移ります。しかし、審判になると「勤め先も辞め、給料ももらわず介護にかかりきりだった」など、客観的な基準をもとに寄与分を計算されるケースが多く、会社勤めをしながら介護をしていたのであれば、寄与分を認められる可能性は少なくなるでしょう。

 遺言書を書いてもらうことを自分からいいだしにくいなら、お父さんが信頼する友人や親戚から、それとなくいってもらうといいかもしれません。

※女性セブン2012年4月26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン