国内

TPP亡国論の中野氏 「大阪都」→「大阪合衆国」を指摘

 日の丸・君が代を尊重する保守派として、マスメディアに取り上げられることの多い橋下徹・大阪市長。「彼の影響力が無視できなくなった」と言う漫画家の小林よしのり氏と、「保守とは言えない」と断言する京都大学大学院准教授で、『TPP亡国論』(集英社新書)著者の中野剛志氏が、ポピュリズム的政治手法を打ち出す橋下氏の言動について討論する。

 * * *
小林:有権者の側にも大いに問題があって、地道に議論を積み重ねながら落としどころを探るタイプの政治家は、世間的に注目されないんだよな。マスコミに出てきても、小泉(純一郎元首相)や橋下みたいに大衆にウケるような喋り方ができない。

 それに、いろいろな利害に目配りしながら責任を持って議論を進めている政治家は、公の場で喋れないことがたくさんあるんだよ。だから、オフレコの場ではいろいろと話してくれるんだけど、メディアの前では歯切れが悪くて、曖昧なことしか言えない。ポピュリズムとの戦いは、そこが難しいんだよね。

中野:そういう真っ当な政治家の話が難しくてわかりにくいのは、社会そのものが難しくてわかりにくいものだからです。物事を簡単には決められないから、国会も衆議院と参議院の2つを用意して、議論に時間をかける仕組みになっている。しかし大衆は「わかりやすい話」が好きですからね。非ポピュリズム的な手法でポピュリズムを潰すのは難しい。民主主義における永遠の課題でしょう。

小林:品位や品格では対抗できないんだよな。

中野:だから、いったんポピュリズムに陥ると、救済はほぼ不可能だと思います。

小林:だからこそ、いかにも愛国者らしいお題目を威勢よく唱えるからといって、それだけで政治家を信用してはダメ。「君が代」や靖国参拝は、もはや愛国心の証明にはならない。アメリカ追従の新自由主義的な政策は間違いだったことが明らかなのだから、まずはそれを総括すべきなんだ。

中野:道州制や首相公選制も、要はアメリカの大統領制や連邦制に憧れているだけ。そのうち「大阪都」では飽きたらず、「大阪合衆国」とか言い出すんじゃないでしょうか。そんなのは、USJの中だけにしてほしいですよ。
 
※SAPIO2012年5月9・16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン