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橋下氏は大阪経済の代わりに些末な入れ墨問題に注力との指摘

 迷走する民主党を横目に、大阪維新の会を率いる橋下徹・大阪市長の勢いが止まらない。その“改革者”としてのイメージを、小泉純一郎元首相と重ねる者も多い。だが、小泉氏の総理首席秘書官を務めた飯島勲氏は、両者は似て非なるものだと言う。ジャーナリストの須田慎一郎氏が聞いた。

 * * *
須田:橋下徹・大阪市長の強さのひとつはその「発信力」にある。小泉元首相の情報発信に深く関わった者としてどのように評価しているか。

飯島:橋下市長はいくつかの点で非常に優れた政治家だと思う。その一つに、確かに強力な発信力を持っている。だが、それは小泉内閣の情報発信とは質が大きく異なる。小泉政権時代、私は進行中の作業はすべて公表した。批判を受けることもあったが、それを吸収して、ある時は反映した。

 だが、橋下市長は常時、公人としての行動をきちんととってきただろうか。質問に罵倒で返すこともあるようだが、もちろん小泉内閣ではそのようなことはなかった。

 それから、職員の入れ墨問題や、市バスの運転手の賃金が高すぎる問題など注目されやすい問題点を見つけ出し、取り上げる能力は非常に高い。

 だが、それらは大阪市行政、大阪府行政の一部にすぎない。現在、大阪が抱えている最大の問題は、経済だ。関西企業が続々と本社を大阪から東京へと移していることに象徴されるように、大阪経済の地盤沈下は非常に厳しいものがある。しかし、橋下市長からは明日の大阪市をどうするのか、という話は聞こえてこない。

 こう言ってはなんだが、代わりに“些末な”入れ墨問題に注力しているように見える。

※SAPIO2012年6月27日号

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