国際情報

胡錦濤主席 次期最高指導者・習近平氏の次の候補も決めている

 中国の最高指導者が胡錦濤・国家主席から習近平・国家副主席に交替することはすでに既定路線だ。だがその裏では両氏とそのグループの間で、人事をめぐる駆け引きが激しさを増している。チャイナ・ウォッチャーのウィリー・ラム氏が解説する。

 * * *
 胡主席は習副主席の次の候補もすでに決めている。それは胡春華(フーチュンフア)・内モンゴル自治区党委書記で、秋の共産党大会で党政治局常務委入りを狙っている。胡春華氏も胡氏と同じく中国共産主義青年団(共青団)のトップを務めたほか、チベット自治区で20年以上勤務し、胡主席が同自治区トップ時代、胡春華氏は胡主席を陰に陽に支えたという密接な関係である。

「胡主席は党大会では胡春華氏を常務委入りさせ、さらに北京市トップの党委書記に昇格させるとの人事案を温めている」と北京の共産党関係筋は明かす。

 さらに、胡主席は同じく共青団トップを務めた陸昊(リュウハオ)・北京市副市長を政治局入りさせ、2017年の第19回党大会では李克強(リークーチアン)、胡春華、周強(チョウチアン)、さらに陸昊という歴代の共青団第一書記経験者4人を党政治局常務委入りさせて、「“胡錦濤院政”を完成させるというシナリオを描いている」と同筋は指摘する。

 胡主席は2002年秋に党総書記に選出され、翌年春の全人代では国家主席として最高指導者の座に就いたが、江沢民氏は軍事委主席を手放さず、政治局常務委では腹心の上海閥最高幹部を擁して“院政”を敷いた。権力を手にした者は終生、権力の座にしがみつきたがる。これは胡主席も変わらなかったようで、歴史は繰り返されようとしている。

●翻訳・構成/相馬勝

※SAPIO2012年7月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン