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老人ホームで三角関係 ふられて落ち込み鬱病になる人もいる

 熟年世代の恋愛と性について長く取材活動を続けている作家の小林照幸氏に聞く、熟年の恋愛・性の現状とこれから。今回は「リア充高齢者になるためには」。(聞き手=ノンフィクション・ライター神田憲行)

 * * *
小林 高齢者の恋愛は厳しい側面もあります。異性を獲得出来た人は最後の春を謳歌することができる。ある意味で人生の勝者でしょう。しかし好きな人を他の人に取られてしまう人もいるんです。老人ホームで三角関係も珍しくない。ふらたれ人の落ち込みようはヒドイですねえ。「次のチャンスを」なんて慰めが通用しない世界ですから、落ち込んで鬱病になる人もいます。

--モテるお年寄りとモテないお年寄りの特徴はなんでしょうか。

小林 やっばりモテる人は健康で清潔感があり、話題が豊富なこと。モテない人は過去の自慢話が多いですね。老人ホームでも現役時代の名刺に「元」と書き込んで配る人とかいるんですよ。

--そんな人がいるんですか。

小林 町会議員とか学校の先生とかですね。引退した後でも「先生」と呼ばれないと気が済まないお年寄りがいるんですよ。ホームの居室に今までもらった感謝状をべたべた張ったりとか。「仕事は何をしていたんですか」と聞かれて、初めて答える奥ゆかしさが必要です。ただ、これから25年後の高齢者にはモテるモテないより、もっと重大な問題があると思います。

 --それはなんですか。

小林 いま恋愛を楽しんでいる高齢者は大金持ちでなくても、年金などで生活して行くには十分な収入があり、日常生活を営める健康に恵まれていて、子供や孫も独立して世話をする必要がない人たちです。経済的にも家庭的にも心配がないから、恋愛に前向きになれるんですよ。年金制度の崩壊が囁かれて経済危機の日本が、25年後に高齢者の憂いのない社会になっているかどうか……。人生の最後まで恋愛と性を楽しみたければ、現役の今、よほど頑張らないといけないと私は考えています。


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