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中曽根康弘 初サミット経てレーガンやサッチャーに負けぬ自信

 尖閣問題を始め、方向感を見失ったかのような日本の政治。最高権力者にはどのような覚悟が求められるのか。4年11か月に及ぶ長期政権を担った中曽根康弘元首相が“総理大臣の資質”について語る。

――頻繁に総理大臣が変わることが政治の漂流の一因だ。自身の経験を踏まえて、総理の覚悟とはどのようなものか。

中曽根:総理大臣になった途端に官僚や新聞記者から冷たい目で見られる。彼らは能力が高く、今までの歴史を熟知し、歴代総理の在り方を研究したうえで現役総理を眺めている。そこに身を晒している。それを克服するだけの人間的魅力と能力がなくては一人前の総理大臣とは言えない。

 能力とは先見力、説得力、国際性。そして政治家同士を提携させる、学者との関係を適切にやる、ジャーナリズムとの関係をうまく導き、同じ志を持つ者を集める結合力。それらが非常に重要な要素になっている。多少時間がかかっても克服しなくてはならない。それが宿命だ。

――自身が総理としての自信をつけたのは就任からどれくらい経ってからか。

中曽根:1982年の11月27日に就任し、1983年5月のウィリアムズバーグ・サミットを経てからだ。ミッテランにもレーガンにもサッチャーにも負けない、そういう自信が出てきた。就任してから半年後だった。

 しかし、だからといって総理就任当初と気持ちが変わったわけではない。

 権力者は孤独だ。権力と相対しているとそれが責任感、孤独感に転じていくのだ。責任を果たさなければならないという気持ちが一人でいるときに孤独感を誘引してくる。総理官邸で夜中に考え事をしていると、梟(ふくろう)の鳴き声が聞こえたことがあった。浜口雄幸総理の随感録にも同じことが載っていた。同じように梟の声を聞いて先輩と政治責任を分かち合う気持ちは、総理官邸に住んだ者にしかわからない。

※SAPIO2012年11月号

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